ぼくが映画を好きできらいになった理由 ~映画は自分の《こころ》を映し出す鏡である~ | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2019-05-24T09:26:22+09:00 Peatix カングロ株式会社 代表取締役 藤井啓人 ぼくが映画を好きできらいになった理由 ~映画は自分の《こころ》を映し出す鏡である~ tag:peatix.com,2019:event-649224 2019-05-22T18:30:00JST 2019-05-22T18:30:00JST 第24回サステナ塾(2019年5月22日(水)18時30分~)「ぼくが映画を好きできらいになった理由 ~映画は自分の《こころ》を映し出す鏡である~」講師:成宮秋祥概要:映画ライター、成宮秋祥は復活するのか?今回、僕が語る映画トーク会は、映画をとおした自己理解と自己探求についてです。すべて僕の言葉で話します。2016年、ある心理学の勉強会にて、僕は自分が抱えている生き辛さについてどう向き合い克服してきたのか3度に渡り語ってきました。2017年からは、人材開発や心理療法として活用されているNLPという技法の専門家や、全国的に活動している発達障害者当事者会の代表者などを、そのある心理学の勉強会に特別講師として招き講演していただくなどサポート役として活動していました。そして、それから2年の月日が経ちましたが、2015年に出会ってからずっと懇意にしていただいているサステナ塾という慈善事業をされている団体さんから講演の依頼をいただきました。今回が、3年ぶり4度目の講演となります。再び、自分自身が抱えている生き辛さとどう向き合ってきたのか、今度は僕自身の人生とどうあがいても切り離すことのできない映画をとおして語っていきます。この映画トーク会は、仕事も家庭もプライベートも充実しているけど、何となく虚しさを感じてしまう人、安定した日々を送っているけど自分って一体何者なんだろう? と悩んだり疑問に思ったりしている人に参加をおすすめします。しかし、日頃から頑張りすぎ、働きすぎ、予定を詰め込みすぎなどで気持ちに余裕のない人は聞いていて辛く感じるかもしれません。そこはご容赦いただきたいと思います。「僕は、2015年から成宮秋祥として映画ライターになり、Web媒体を中心に映画レビューを2018年まで書いていた。また、映画ライターとして活動し始めたほぼ同時期に「人生を面白くする映画について語ろう会」や「映画の”ある視点”について語ろう会」、「映画を語る会」といった映画関係のオフ会を2017年まで開催していた。映画レビューは掲載されると多くの人たちから高評価をいただいていたし、映画関係のオフ会もいつも熱気と興奮に包まれていて満足度は高かったと思う。しかし、そういった成果を上げていたのにも関わらず、心はずっと満たされないままで、行き場のない生き辛さをずっと感じていた。僕のことをよく知りもしない人から、“人間映画Wikipedia”なんて機械みたいなあだ名をつけられて、ずっと自分ではない自分を自ら演出していたという事実に耐えきれないほどの空虚感を感じ、苦しんでいた。あの時期、僕に協力してくれる人たちは皆良い人たちのように思っていた。いや、良い人たちだと思い込みたかっただけだった。そもそも僕は彼らのことをよくは知らないし、彼らも僕のことはよく知らなかっただろうから。それでも僕と彼らが繋がってしまったのは、僕も彼らも満たされない自分の人生を満たそうとしていたからだろう。あの時期、僕は人に対して本音が言えなかった。人が怖くて仕方がなかった。僕に対して優しく接してくれる人でさえも怖くて仕方がなかった。人を信用できず、人から裏切られる恐怖心でいっぱいだった。映画レビューを書くにしても、映画のオフ会にしても、僕はずっと妥協と挫折を繰り返してきたと思う。人と争うことがきらいだった。いや、そんなきれい事は嘘っぱちだ。本当は、僕のそばから人が離れていくのが耐えられなかったからだ。それでも自分の本来の望みを通したことだってあった。そして案の定、人はどんどん僕から離れていった。そう、僕は誰の望みも叶えることなどできなかったからだ。僕は他人が思うほど良い人ではなかった。本当の僕は超がつくほどわがままで短気でいい加減で好ききらいも激しくどうしようもないほどマイペースだった。だから、人の意見に合わせるなんて本当はできない奴なんだ。そんなどうしようもない奴なのに、人に合わせ、人の意見に従い、自分を殺し、自分が好きな映画の世界で道化を演じていたのだから情けなさすぎて笑いが止まらなかった。2014年に『アナと雪の女王』が日本で大ヒットを記録した。世間では「ありのままで」という言葉が流行した。ありのままの自分で良い、そのままの自分で良い、そんな耳触りの良い言葉がリアルでもネットでもうざったいほど騒がれた。ありのままで。僕はありのままで生きるということが理解できなかった。そもそも自分というものがわかっていなかった。道化なら何パターンも演じられるのに。僕にとって、ありのままでって何だろう? 僕の本当の望みは何だろう?僕は普通に生きたかった。ここでいう“普通”とは何だろうか?例えば、日本生まれの日本人の家に生まれて、両親ともに健在で仲が良くて、何となく学校で友達を作って、何となく会社に就職して、自分もまた自分だけの家庭を作っていく、そして暇な時間は映画を観て暮らすこと。僕は自分が普通に生きていると意識できたのは映画を観ている時だけだった。僕は自分にも他人にもずっと嘘をついてきたように思っていた。僕は在日韓国人の家に生まれ、母子家庭で育ち、僕自身は発達障害を持っていて、心を病んだ母親からは虐待を受けてきた。母親は僕を産むことを望んでいなかった。いわゆるアダルトチルドレンの家庭で育った。家庭崩壊も経験した。人との接し方も距離感もわからず、学校ではいじめに遭い不登校だったこともあった。2012年に園子温の『ヒミズ』を観た時、僕はこの映画がどうしても好きになれなかった。この映画で描かれる主人公は親の虐待に耐え続けていた。僕と似たような普通じゃない人生を生きていた。主人公が大声で「ふつう最高!」と叫ぶシーンには胸が痛む感じがした。普通じゃない人生を生きているという自覚を彼自身がしているからこそ伝わる痛みのようだった。しかし、何よりこの映画が好きになれない理由は、この映画の主人公には理解者となるヒロインの存在があったからだ。このヒロインの存在によってこの映画が決定的にフィクションだと強く意識させられた。そして僕は、自分には理解者が誰一人としていなかったことに絶望したのだった。親切に僕の話を聞いてくれる人もいたが、その人は僕の生きてきた人生が想像したよりも重すぎたと感じたらしく、気持ちが耐えられないと言って、僕から離れていった。それ以来、僕は人の親切を信用できなくなった。それは怒りも恐怖もあったが、何よりも、悲しかったからだ。僕は、自分がきらいだった。2014年に知り合ったある心理学の勉強会の人たちと自分たちの将来の目標を話し合った時、咄嗟に僕は世界を変えたかったと言ってしまった。それを聞いた皆の優しい顔、僕に期待している風な笑顔と熱い視線が怖くて辛くて堪らなかった。僕が純粋に世界をより良くしたいと望んでいると思っての反応だったのだろう。しかし僕の本音は、こんなどうしようもなく生き辛くて悲しくて苦しいだけの世界なんてなくなってしまえというつもりで言っていたのだから。彼らの純粋で善良な眼差しが胸に痛かった。いつもいつも他人が喜びそうな言葉を言っては満たされることのない承認欲求を埋めていた。しばらくすると途方もない虚無感に襲われ、他人の期待に合わせ続ける自分自身に対する嫌悪と罪悪感に苛まれた。どうしようもなく悲しい時、明るくて楽しい映画を観ても何も感じなかった。何も癒されなかった。映画では何も癒されることはない。そんな体験をしたことが辛かった。僕は、暗くて悲惨な映画が好きになった。明るくて楽しい映画が描いてみせた嘘だらけの物語に批判をかましてくれることが痛快だったからだ。ここまで書いていくと自分でも思うことだが、何て自分の人生は不幸で惨めなんだろう。こんなことを思うと、これじゃこいつは被害者ぶって何の努力もしないろくでもない奴だなんて心の厳しい人たちは言ってくるかもしれない。だが敢えて言う。自分の人生の不幸や惨めさを認められないことの方がよっぽど不幸で惨めではないかと。そして、そこに蓋をして無理してポジティブな仮面をつけて道化を演じることは哀れだと。敢えて言う。これまでの自分の人生は不幸で惨めだった。僕はそう感じていた。映画は僕を救うことはなかったかもしれない。だけどたくさんのことを教えてくれた。自分が不幸で惨めだと感じていたこと、それを認めたことで自分の好ききらいがわかってきたこと、自分が何に幸せと満足を感じているのかを。何もかも上手くいかなくて生きることに疲れた時、中島貞夫の『893愚連隊』でやくざに対して大勝負をしかけるも失敗してしまった愚連隊の松方弘樹が最後に放った「いきがったらあかん、ネチョネチョ生きとるこっちゃ」という言葉を思い出す。結局、人は最終的には良いとか悪いとかは関係なく、この言葉に行き着くのかもしれない。それでも生きていくのだと。また、死にたいと思った時には、青山真治の『EUREKA』で主人公の役所広司と一緒に旅をしていた少年がある深刻な体験をしていたことがわかった時、その少年に対して放った役所広司の「生きろとは言わん死なんでくれ」という言葉はずっと心に残り続けている。果たして重い感動があったのだ。人は、不幸や惨めさの中にもどこかに幸せや満足を感じているものだ。しかし人は、本当はそばにあるはずのその大事なものをずっと外側に求めすぎていたのかもしれない。それはただ単に気づいていないだけで、あるいは知らないだけなのかもしれない。映画は僕にそれを教えてくれた。なぜなら、映画は自分の《こころ》を映し出す鏡であるからだ。僕は映画が好きできらいである。きらいな理由は、今までの僕が不幸で惨めだと教えてくれたからだ。好きな理由は、そんな人生でも幸せが感じられることを教えてくれたからだすべては表裏一体。僕は自分の人生が不幸だと感じても、惨めだと感じても、それで良いと思っている。その想いごと生きていく。僕は、そんなことをサステナ塾で話していきます。僕が話す体験談は、抱えていた生き辛さを乗り越えたから話すのではありません。乗り越えるために話します。」第1部 成宮秋祥の映画トーク会一章 映画との出会いについて・子ども時代から大人になるまでに体験した映画体験を話します二章 映画から知った自分のこころのヒント(目に見えるもの)・主に2010年~2014年にかけて体験した映画体験を話します三章 映画から知った自分のこころのヒント(目に見えないもの)・主に2015年~2018年にかけて体験した映画体験を話します第2部 映画クイズ大会(優勝者には景品あり)講師:成宮秋祥プロフィール:映画ライターとして、2015年から2018年までことばの映画館、neoneo web、THE RIVERなどに映画レビューを寄稿。 2017年まで映画オフ会、「人生を面白くする映画について語ろう会」や「映画の”ある視点”について語ろう会」、「映画を語る会」を主催-------------------------■開催日時:2019年5月22日(水)18時30分~20時50分 ■場所:渋谷区勤労福祉会館2階「第三洋室」    東京都渋谷区神南 1-19-8 (各線渋谷駅より徒歩5分)地図:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/shuro/kinro.html■参加運営費用として: 塾    生(一般)2000円 (学生)500円 初参加(一般)2500円 (学生)1000円*当日のキャンセルは、ご容赦ください。★任意参加により塾終了後に、懇親会をします!!(別会計:2000~2500円程度)■入塾資格: 世界や社会のために何かできないかと内なる志を持つ有志※入塾の際に入塾費などは頂きません。月1回開催予定の塾開催時の参加運営費用のみ、都度徴収となります※入塾とは言っても、何か入塾契約などを結ぶわけではありません。毎回参加は、自由ですし、入塾、退塾も自由です。お気軽にご参加下さい。※当塾は、政治団体、宗教団体とは一切無関係です■オンデマンド・サステナ塾アーカイブ映像/第14回~最新回:(この映像集は有料コンテンツです) https://vimeo.com/ondemand/sustainajuku■塾長:森裕美子プロフィール横浜生まれ。ドイツのフライブルクに留学中、行政や市民による持続可能な世界を目指す社会システムに出会う。当時に起こったユーゴスラビア紛争で、ドイツに逃れた難民の方々との出会いがあり、その時の想いが現在の活動につながっている。2003年より十数回インドを訪れ、自らの内面の探求により宇宙の真理に触れ、ヒーラー、アニマルコミュニケーターとして動物と人間の癒しに携わる。2015年1月、カングロ株式会社 執行役員に就任。現在は、ライフコーチとして企業を中心に、1人ひとりが自らのミッションを通じて、人生と仕事のワンネスを図り(ワークライフインテグレーション)、最高の人生を創造するクリエーターになるべく支援している。■サステナ塾 代表世話人:【藤井啓人(ふじいひろと)】茨城県東海村出身。高卒後、上京し新聞配達をしながら予備校に通い筑波大学に入学。4年間、体育会硬式野球部に所属し選手と2軍監督を経験。1992年に株式会社リクルート入社。12年間、組織・人事コンサルティング事業に従事し、約2000社の企業の変革に携わる。社内表彰制度で全国MVP・部門MVPの受賞計8回。2004年に独立し、事業再生コンサルティングのマネジメントリコンストラクション社を設立。2010年5月カングロ株式会社 代表取締役に就任。独自のサステナビリティ・イノベーション・コンサルティング事業を開始。米国で「今最も羨望の注目を浴びる企業」とされるオンライン・リテーラーのザッポス社のハピネス経営、「社員をサーフィンに行かせよう」「レスポンシブルカンパニー」の題材となっているアウトドア用品メーカーの米パタゴニア社を研究し続け、約1000社3000名のビジネスパーソンにセミナーや勉強会等でその真髄を伝えている。2013年には西アフリカのナイジェリア連邦共和国にて合弁会社を設立し、水問題、エネルギー問題、食糧問題、環境問題を日本のテクノロジーで解決するソーシャルビジネス事業も行う。実地の中から発信される指南は、斬新・先駆的でかつパワフルであり、魂を揺さぶるものとなっている。2013年以降、システムD研究会、自転車事故防止委員会、セブメディの会を設立。2015年より同士と共に「懐かしい未来プロジェクト」を開始し、持続可能な地域社会の実現のために人間本来の役割を思い出すためのあらゆる「体験」の場と機会を提供している。自転車のある生活をこよなく愛し、年間約1万kmを走破する。マラソンランナー、トライアスリート。ゴミ拾い、和太鼓に勤しむ。■主催:サステナ塾https://www.facebook.com/sustainajuku■協力:HOOPS!、イノベーションサロンZ、システムD研究会、セブメディの会、自転車事故をなくすっぺ委員会■協賛:カングロ株式会社 https://www.kanglo.co.jp