辻山良雄×上田元治×中沢明子×日比谷尚武「メディア分析ラボ #17 本(屋)はインテリアになったのか?」 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2019-11-01T06:10:30+09:00 Peatix かにみそ 辻山良雄×上田元治×中沢明子×日比谷尚武「メディア分析ラボ #17 本(屋)はインテリアになったのか?」 tag:peatix.com,2018:event-451072 2018-11-14T19:30:00JST 2018-11-14T19:30:00JST  昨年1月に当ラボでは「個性的な本屋さん」と「おしゃれなライフスタイルショップ」の台頭と同時に本がまるでインテリアのように「飾られる」ことが「流行」になっている、そしてそうした感じの良い雑貨屋やカフェや個人経営の書店の雰囲気がおしゃれだが均質化している、といった問題意識を軸に「本はインテリアになったのか?」というテーマを掲げました。 過去16回の当ラボの中で、この回はトークがもっとも緊張感に包まれました。理由は、「均質化」「同質化」「画一的」「個性の無個性化」といった強い言葉をあえて選んで問題提議した私に異議が唱えられたからです。しかし、その時から今に至るまで私は、均質化していても、今という時代の空気にチューニングして一定の質が担保された、感じの良い書店やカフェや雑貨屋が日本全国あちらこちらに出来ることをとても良いこと、とポジティブに受け止めていると強調しています。イオンが沖縄を含めて全国各地にあるように、感じの良い書店も全国各地にあるべきです。 最近は、雑誌などの「街」特集の案内人はそうした書店や雑貨屋やカフェの店主が務めるケースが非常に多く、イマドキの街の空気にそうしたカルチャーが欠かせないことがよくわかります。地方創生やまちづくりに今、昔とは違った役割を担う新しい書店や本をインテリアや売り物のひとつにしたカフェや雑貨屋が必要とされています。しかし、あまりにも「個性」が強すぎる本屋や雑貨屋やカフェは排他性を帯びる危険があります。ですから、特に住民の数が限られる地方や郊外ではさまざまな志向を持つ人たちに愛される店となるように、「わかりやすさ」と「気軽さ」が必要だろうと思います。街の文化の中心として、居心地の良いソファのあるリビングのような存在。地方や郊外の感じの良い小さな書店は、まさに街のインテリアとしての役割も担ってきています。 さらにマスとしてのこれからの書店の方向性を決定づけたのは、(皆さんも納得していただけると思いますが)蔦屋書店です。今や、他チェーン書店も蔦屋書店化に舵を切っています。本家蔦屋書店と比較すると細部が行き届いていない店が多いですが、いずれにせよ、「消費者を引き付ける見せ方」を蔦屋書店が可視化したことによって、他社も見様見真似できるようになりました。ただし、蔦屋書店が嫌いな「本好き」もいます。蔦屋書店への思いは意外と両極端である点が興味深いところです。 最近は、有隣堂が東京ミッドタウン日比谷に新機軸のショップを出店したり、台湾の誠品生活のライセンシーを三井不動産と一緒にとったり、日本橋の新しい商業ビルの核テナントとして登場する誠品生活の棚作りを請け負うことが発表されました。 そこで私は「本がインテリアになり、さらに本屋そのものがインテリアになった」と感じました。ご存知の通り、本の売り上げは右肩下がりのなかで、本の持つ知的なイメージは今もって魅力的な空間作りに有効なのだな、と。 もちろん、ずっと昔から、本は知的なイメージを醸し出すアイテムであって、難しくて読みこなしていないけれど本棚に収めたり、百科事典を並べたり、朝日ジャーナルを片手に歩いたり、無意味にアール・ヴィヴァンをうろついたり、といった行動を人々はとっていたわけで、本や本屋が「インテリア」になる例は今に始まったことではありません。 それでも、昔は実際に本が売れていました。そこが今と違う部分です。これからの本屋さんはどうあればいいのか、生き残っていけばいいのか、生き残ってもらえるのか。kindleと併用しつつも、やはり紙の本が好きな私のような人間にとって、大きな関心事です。 そこで、個人の新刊書店として全国に名前が知られる荻窪のTitleを経営する辻山良雄さんと蔦屋書店のキーマンでいらっしゃる、CCCの上田元治さんをお招きして、本と本屋とこれからの街と本屋のあり方について、語り合えたらと思っています。このテーマを語り合うにふさわしいお二人に出ていただけて、とてもうれしいです。 ぜひ、少しでもテーマにご関心のある方はお越しくださいね。ライター・出版ディレクター 中沢明子注:当イベントはリアルの場で語り合うのを主旨としています。昨今のイベント時の流れに反していますが、SNSで一部分を切り取って発信するのはご遠慮いただければと存じます。***************************************◆ パネリストプロフィール*************************************** ◯辻山 良雄(つじやま よしお) 兵庫県神戸市生まれ。㈱リブロを退社後、2016年1月10日、荻窪に本屋とカフェとギャラリーの店Titleをオープン。新聞や雑誌などでの書評、カフェや美術館のブックセレクションも手掛ける。著書『本屋、はじめました』(苦楽堂)、『365日のほん』(河出書房新社)が発売中。12月上旬に、画家のnakabanとの共著『ことばの生まれる景色』(ナナロク社)が発売予定。 Twitter:@mt_tuji (撮影:齋藤陽道)◯上田 元治(うえだ もとはる) 1973年生まれ。1997年カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社。長く直営店舗の店頭で映画、音楽、本、文具、ゲームを扱う。TSUTAYA TOKYO ROPPONGI ほかの店長、映画館支配人を経て、2012年 代官山 蔦屋書店の立ち上げ、2015年 二子玉川 蔦屋家電の立ち上げなど、ライフスタイル提案型書店の企画運営を行う。「メディア分析ラボ 」に常連参加。 ◯中沢 明子(なかざわ あきこ) 1969年東京都生まれ。ライター、出版ディレクター。女性誌、ビジネス誌など幅広い媒体でインタビュー、ルポルタージュ、書評を執筆。延べ2000人以上にインタビューし、雑誌批評にも定評がある。得意分野は消費、流行、小売、音楽。著書に『埼玉化する日本』(イーストプレス)、『それでも雑誌は不滅です! 』(朝日新聞出版)、共著に『遠足型消費の時代』(朝日新聞出版)、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』(mucco/プレジデント社)、『深読みフェルメール』(朽木ゆり子+福岡伸一/朝日新聞出版)などがある。 *************************************** ◆ 開催情報 *************************************** 日時: 2018年11月14日(水)19:30~21:00 (開場19:00) 会場: Sansan株式会社セミナールーム アクセス: 東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル13F 参加費: 1,000円(税込) ※領収書の発行はありません 定員: 30名程度 **************************************** ◆ タイムテーブル **************************************** - 19:00 開場- 19:30 開演 テーマ「本(屋)はインテリアになったのか?」 <パネリスト>  ・Title店主 辻山良雄氏   ・カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 上田元治氏   ・ライター・出版ディレクター 中沢明子氏 <司会進行>  ・Sansan名刺総研所長 日比谷尚武氏