ユングの東洋思想論を読む」第12回 チベットの大いなる解脱の書(3) | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2024-03-11T09:15:40+09:00 Peatix nohaku ユングの東洋思想論を読む」第12回 チベットの大いなる解脱の書(3) tag:peatix.com,2024:event-3861280 2024-03-07T19:30:00JST 2024-03-07T19:30:00JST 2024年度のユングスタディ企画は、引き続き「ユングの東洋思想論を読む」です。ユングが東洋思想について論じた様々な文章を取り上げて読んでいきます。 今回も引き続き、「チベットの大いなる解脱の書」を読み進めていきます。 ■ C.G.ユング「チベットの大いなる解脱の書」(1939)   邦訳:『東洋的瞑想の心理学』所収 湯浅泰雄・黒木幹雄訳、創元社      1983.11(第一版)、2019.1(新装版)  このテキストは、チベット仏教の経典「チベットの大いなる解脱の書」の英訳書の刊行に際し、ユングが訳者からの依頼によって書いた解説です。二部構成のテキストで、第一部では西洋と東洋の思考様式の違いの問題が取り上げられ、第二部では実際の経典の内容に注解が加えられていきます。 前回は、第一部の中盤を読み進めました。 ユングは、自身のタイプ論を改めて援用して、西洋の認識は典型的な外向的視点、東洋の認識は典型的な内向的視点を示しているとします。外向的な西洋においては、外的対象や外的状況への適応が重視されるため、内向性は何か異常なもの、病的なもの、許しがたいものと感じられます。一方で東洋においては、外向性は空しい貪欲として低い価値しか与えられません。外界に対する欲望は因縁のつらなりを生み出し、輪廻の中に留まることの本質的要因になるからです。 この外向性と内向性の問題に含まれた宗教的な側面も重要です。キリスト教的西洋は、人間を全く神の思寵に依存する存在と見ていますが、東洋では人間の内にある「たましい」の仏性、自己救済が信じられています。 西洋の場合の「偉大なる力」は、彼自身にあるのではなく、自己の “外に” あるものであり、それが唯一の実在です。西洋人は、単に東洋の方法を真似る(つまり、東洋という “外”から良さげなものをただ持ってくる)のではなく、自身の無意識内部の内向的傾向を認識し、内から東洋的価値へと至る必要がある、とユングは言います。 またユングは、西洋人が使う「精神」や「心」の概念は、多かれ少なかれ「意識」と一致しているとします。東洋的における「精神」や「心」は、意識よりもむしろ「無意識」に近いものです。西洋が使っている意味での意識は、東洋ではむしろ劣等で真理を知らない「無明」の状態とされます。ユング心理学の観点から見た、東洋の思想や修行方法の目的は、意識領域の中心たる自我から、心全体の中心である「自己」に心の重心を移すことです。この「自己」に関係づけられた意識の状態が、東洋における「高次の意識」に相当することになります。 ※ 前回までのスタディのダイジェストは、   以下の当会HP、および当会フェイスブックに掲載しております。  https://jung2012.jimdofree.com/スタディ/2023年-通期-ユングの東洋思想論を読む/  https://www.facebook.com/ユング心理学研究会-281102485276364/ 今回は、第一部の最後の部分を読み進めます。この箇所でユングは、内向的なあり方が持っている創造性について述べていきます。 ユングの考える内向とは、内的イメージにおいて現れてくる元型的なものに向かい合うことになる状態です。元型的イメージの情動性に圧倒されてしまうと病的な状態になりますが、他方でそれと能動的な関わり方を保ち、意識して投影を引き戻すことができれば、現実への補償性や創造性が生まれます。 ユングは東洋の思想や修行の中に、内向的姿勢のこうしたプラス面を見て取ったことになります。内向的なものの価値を理解できなければ、つまるところ東洋的な体系の価値も理解できないわけです。  案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)  司会進行:海野裕美子(同) 資料協力:山口正男(同)    ---------------------------------    第12回:3月7日(木)19:30 〜 21:30   ■ テキスト: C.G.ユング「チベットの大いなる解脱の書」(1939)   『東洋的瞑想の心理学』所収 湯浅泰雄・黒木幹雄訳、創元社    1983.11(第一版)、2019.1(新装版)          ・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文も参照します。 ・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。 ・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。お気軽にご参加ください。 ■ 参加費:1,000円 ・当会では、お申し込みいただいた後での参加者都合による返金は致しません。 ・参加申込者には会の終了後、録画アーカイブを期間限定で配信する予定です。  (諸事情により配信できない場合もありますので、あらかじめご了承ください) ■ 参加方法  オンライン参加と、配信会場での現地参加の、二種類の参加ができます。  どちらの参加方法でも、終了後にアーカイブ配信を視聴できます。 (1)オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)  開始時間にオンラインのミーティングルームに参加します。  配信会場とは、チャットでのやり取りや、対面での議論が可能です。  ・開場は開始15分前の19:15です。 (2)配信会場での現地参加  配信会場にお集まりいただいて現地参加できます。定員15人。  配信会場:chez alterna(シェ・オルタナ)    東京都中野区松が丘1丁目 17-12    西武鉄道新宿線・新井薬師前駅より徒歩3分  ・当日は紙資料を配布しますので、資料代500円を別途いただきます。   (資料代は現金でご用意ください)  ・開場は、開始一時間前の18:30です。   (開始前までは参加者間の交流の時間となります)    ※ 申し込み後に参加方法を変更したい場合には、事務局までご一報ください。 ■ 参加申し込みページ https://jungstudy20240307.peatix.com  ■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/ ■ 問い合わせ:研究会事務局 jungtokyo_info@yahoo.co.jp Updates tag:peatix.com,2024-02-22 04:54:40 2024-02-22 04:54:40 イベント詳細情報を更新しました。 Diff#1503520