第34回 私はなぜマイクロプラスチックの研究のために日本に来たのか | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2022-08-12T21:30:33+09:00 Peatix WirelessWire News 第34回 私はなぜマイクロプラスチックの研究のために日本に来たのか tag:peatix.com,2022:event-3297053 2022-07-13T19:30:00JST 2022-07-13T19:30:00JST 自然界に存在する高分子を天然高分子といいます。タンパク質やセルロース、あるいは天然ゴムなどがそうですね。なにより私たち人間、あるいは植物自体が天然高分子の塊です。これに対して人為的に作られた高分子が合成高分子です。ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、プラスチック等が代表格でしょうか。合成高分子は、軽くて丈夫で使いやすく衛生的です。豊かな文明社会を作るために合成高分子が果たした役割は計り知れません。しかし、この合成高分子の最大の弱点は、リサイクルできない(=微生物が分解できない、あるいは分解しにくい)、という点にあります。特に「海洋プラスチック」あるいは「マイクロプラスチック」が環境に悪影響を与えていることが報道される機会が増えているのはご存知の通りです。「まずはリサイクルの前に減らすことだ」という事情がよく分かっていない前環境大臣の妄言からレジ袋が有料化され、2022年4月にはプラスチック資源循環促進法が施行されました。日本という国が怖いのは、制度設計の破綻を精神論で補おうとすることで、電力が足りなくなると「みんなで節電しよう!」と(政府が)呼びかけたりするのがまさにそれです(実際、何とかなるので怖いわけです)。「プラスチックを減らせ」という運動が経済にどのようなインパクトを与えるのかを現在の政府がきちんと考慮しているかどうかもかなり怪しい。豊かな文明社会をキープし経済成長も狙いつつ環境と折り合いをつけるとしたら、プラスチックは減らすのではなくリサイクルさせることが重要になるはずです。そこに登場するのが今回話題提供いただく、ドイツからの助っ人にして公立大学法人公立千歳科学技術大学の教授、オラフ・カートハウス(Olaf Karthaus)氏です。カートハウス研究室では、天然高分子を含む機能性ハイブリッド材料、プラスチック材料の劣化に関する研究、そして河川にあるマイクロプラスチックの調査・研究を実施しています。ただし、カートハウス氏の究極的な目標は「100%のリサイクル」です。当然、それが非現実的であることはカートハウス氏自身も心得てはいるわけですが、例えば循環型ビニルポリマー(Sustainable Vinyl Polymer)を遺伝子操作しバイオ合成することができれば、限りなく100%のリサイクルに近付きます。ただ現実のポリマーは、そもそも分別が困難で添加物が混入しており、多層コンポジット材料として存在していることが問題解決を困難にしています。さて、カートハウス氏に秘策はあるのか? 13日の「シュレディンガーの水曜日」でみんなで確認しましょう。話題提供は日本語で行われます。英語が若干混入する可能性はありますがドイツ語は出現しない予定です。(竹田) 募集要項 7月13日(水曜日)19:30開始私はなぜマイクロプラスチックの研究のために日本に来たのかReason to Research on Microplastics in Japanオラフ・カートハウス(Olaf Karthaus)公立大学法人公立千歳科学技術大学教授(理学博士)Education1988: Diploma Degree, Faculty of Chemistry of the Johannes Gutenberg University, Mainz, Germany1992: Doctor Degree (Dr.rer.nat.), Faculty of Chemistry and Pharmacy of the Johannes Gutenberg University, Mainz, GermanyOccupation and Research1992/5 - 1993/12: JSPS and Alexander-von-Humboldt fellowship at the Faculty of Engineering of Tohoku University, Sendai, Japan1994/1 - 2000/3: Research Associate at the Research Institute for Electronic Science, Hokkaido University, Sapporo, Japan2000/4 - 2006/3: Associate Professor, Chitose Institute of Science and Technologysince 2006/4: Professor, Chitose Institute of Science and Technology2010/4-2020/3: Head of the Department of Bio- and Material Photonics/Applied Chemistry and Bioscience2000 - 2003: Researcher of the " Self-Organization and Function" Project within PRESTO, JST・日程:2022年7月13日(水曜)19:30から45分間が講義、その後参加自由の雑談になります。・Zoomを利用したオンラインイベントです。申し込みいただいた方にURLをお送りします。・お申し込み:先着100名を無料でご招待します(90名を超えそうになると締め切る可能性があります) ※チケットのお申込み期限は当日7月13日の18:00までとさせていただきます。・参加費:無料シュレディンガーの水曜日は毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテーターが運営しています。レギュラーコメンテーターメインキャスター、MC原正彦:東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。レギュラーコメンテータ今泉洋:武蔵野美術大学・名誉教授武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。レギュラーコメンテータ増井俊之:慶應義塾大学環境情報学部教授東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997~2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来〜自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。