マルレク「コンピュータ、数学の問題を解き始める」 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2022-04-03T13:52:20+09:00 Peatix 丸山不二夫 マルレク「コンピュータ、数学の問題を解き始める」 tag:peatix.com,2022:event-3182960 2022-03-26T19:00:00JST 2022-03-26T19:00:00JST この2月に、 Open-AI はとても興味深い発表を行いました。彼らは、国際数学オリンピックのいくつかの問題をコンピュータを使って解いて見せたのです。例えば、2000年の数学オリンピックの問題は、こんな感じです。問題  |x - 2| = p とする。 x < 2 の時、x - p = 2 - 2p となることを証明せよ。証明  x < 2 なので、|x - 2| = - (x - 2)である。p = |x - 2| を使えば、x = 2 − p である。結局、x - p = 2− 2p となる。この例は、高校生の数 I レベルのやさしい問題ですが、こうした問題をコンピュータが解くのは、画期的だと思います。論文には、この例をふくめて6つの例が紹介されています。実際には、コンピュータは、形式的証明を返すのですが、ここで紹介したのは、「非形式的 Informal」な証明です。コンピュータは、Informal ボタンを押すと、こうした「非形式的」証明を返してくれます。形式的証明を非形式的証明へ要約・翻訳できるのも面白いです。「数学オリンピックの形式的問題(のいくつか)を解く」"Solving (Some) Formal Math Olympiad Problems"https://openai.com/blog/formal-math/ Deepmindは、数学へのAIの利用について、昨年12月、Natureにこんな論文を発表していました。それは、数学者に向けてAIも使いみちがあると述べたものでした。"Advancing mathematics by guiding human intuition with AI "  https://www.nature.com/articles/s41586-021-04086-x今回のOpen-AIの発表は、そうした関心と方法の延長線上にあるものだと思います。ただ、今回の方が訴求力は大きいように思います。Deepmind は、数学の問題ではないのですが、今年2月に、プログラミング・コンテストで出題された問題が与えられた時、その問題の解答となるコンピュータ・プログラムをコンピュータが生成する取り組みを発表しています。"Competition-Level Code Generation with AlphaCode"https://storage.googleapis.com/deepmind-media/AlphaCode/competition_level_code_generation_with_alphacode.pdfセミナーでは、まず、Open-AI / Deepmind によるこうした動きを紹介しようと思います。それは、現在のAI技術の到達点を知る上で、重要なことだと思います。ただ、今回のセミナーで伝えたいことは、もう一つあります。それは、こうした「成果」を、「ニューラル・ネットワーク」や「ディープ・ラーニング」、一般に AI 技術と言われるものの「成果」と単純に見做すべきではないということです。丸山は、コンピュータ・プログラムが、もともと「論理=数学的推論」を行う能力を持っていると考えています。それは、いわゆるAI技術に基づいて「論理=数学的推論」を実現しようというのとは異なる視点です。もしも時間があれば、「機械にできること」と「人間にできること」を比較して、人間のどのような能力が、機械と人間の共生の時代に、意味があるのかを考えたいと思います。