ユング「心理学と宗教」を読む(第6回) | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2022-04-02T22:00:09+09:00 Peatix nohaku ユング「心理学と宗教」を読む(第6回) tag:peatix.com,2022:event-3164538 2022-03-03T20:00:00JST 2022-03-03T20:00:00JST ユング「心理学と宗教」を読む(第6回)< zoom配信 > 「ユング『心理学と宗教』を読む」シリーズの第6回です。 「心理学と宗教」は、ユングが1937年にアメリカ・イェール大学での「テリー講義」として行なった全3回の英語講演の記録です。ユングの宗教観が伺えるだけでなく、ユングの後期研究についての概観としても読むことができるテキストです。 令和4年度の初回となる2月のスタディでは、全集パラグラフ56-68(邦訳書p.37-44)を読み進めました。ユングの全三回講義のうち、今回から第二回目に入ることになります。 ユングは引き続き、患者であった男性知識人(ノーベル賞物理学者パウリ)の見た夢を元に考察を述べていきます。パウリが見た「サルの復元」の夢には、本能性を再統合することによって新しい人間になる「霊的な再生」のテーマが示されています。偉大な物理学者としての知的な昼の生活とは対照的に、夜の享楽的な生活がコントロールできないものになっていたことが彼の抱える問題でした。そんなパウリにとって、意識的なあり方を損なわない形での本能性の再統合が必要でした。  ユングは続いて、パウリの見たまた別の夢を提示します。その夢の中でパウリは、「内的平静あるいは精神集中の家」と呼ばれる厳粛な建物に入り、精神集中を行いますが、そこに「声」が聞こえてきて、「生命の充溢から自分の宗教を誕生させねばならない」ことを告げます。この夢はパウリにとって、人生と人間に対する自身の態度を完全に変えてしまった経験の一つとなりました。  ユングは「精神集中の家」の中に出てくる、ピラミッド型に配置された多数の燃える蝋燭に注目し、そこに「四元性」および「生命としての火」という、古来からの重要なシンボリズムが現れていると指摘します。どちらも神聖なイメージであり、ここには神性の現前かそれに等価な観念が表れています。  また、無意識の心から来る「声」は、ときに優れた知性と目的性をおびる、基本的な宗教現象です。ユングは「声」の現象を、無意識内にある様々な部分の中心から発せられているものであると理解します。「私」すなわち意識的自我は、総体としての心の一部であり、全体的な心的人格の中心としての自己に従属しているのです。 ※ 前回までのこのシリーズの内容については、こちらで報告をしています。  https://jung2012.jimdofree.com/スタディ/2021-2022年-通期-ユング-心理学と宗教-を読む/  次回3月3日のスタディでは、全集パラグラフ68-81(邦訳書p.44-50)を読み進めます。「声」のテーマをさらに掘り下げていくことで、ユング宗教論の本質的な議論に次第に入っていくことになります。 ユングはここで宗教について、それは「生の完全さ」、両面を含んだ生の結実であると述べます。これは「善をなし悪を退ける」という一般的な宗教的倫理とは異なる理解と言えないでしょうか。さらには「精神衛生の方法」としての宗教の教義についても語られますが、ここはまさに精神医学者としてのユングの本領と言えます。 今回もzoomオンラインのみでの開催となります。開始時間は、会場開催の場合よりも一時間遅い20時からとなりますので、ご注意ください。         案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)       司会進行:海野裕美子(同) 資料協力:山口正男(同)    ---------------------------------      第6回:3月3日(木)20:00 〜 22:00 (開場19:45)    ■ テキスト: C.G.ユング「心理学と宗教」      村本詔司訳『心理学と宗教』人文書院、1989.4 所収               ・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文も参照します。   ・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。   ・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。お気軽にご参加ください。    ■ 会場:オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)  ■ 会費:1,000円  ■ 参加申し込みページ https://jungstudy20220303.peatix.com   ■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/  ■ 問い合わせ:研究会事務局 jungtokyo_info@yahoo.co.jp