第10回 エレクトロニクスはバイオにもっと近付けるか? | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2022-01-14T21:32:21+09:00 Peatix WirelessWire News 第10回 エレクトロニクスはバイオにもっと近付けるか? tag:peatix.com,2021:event-3104050 2021-12-15T19:30:00JST 2021-12-15T19:30:00JST 私たちの身の回りでは、様々なセンサーが使われています。温度センサー、ガスセンサー、光センサーなど、多様な物理量や化学量をデジタルに変化させることで、安心安全で便利な暮らしに役立てています。これらのセンサーは、物理・化学量をほぼすべて電気エネルギーに変換して読み取っています。しかし、先日の山下先生の講義(11月17日に実施された「生体の気持ちをサイバー空間上に正確に展開してみたい」)とも密接に関連しますが、私たち生体が感じている感覚を電子信号に変換することは、現在でも容易なことではありません。例えば、視覚と聴覚に相当するセンサーがカメラやマイクとして広く利用されている一方、嗅覚や味覚に相当するセンサーは、私たちの身近なところでは使われていません。エレクトロニクスにはまだ取得できていない生体情報がある、と考えられます。早水先生は、この問題をナノ材料と生体材料の接点を効果的に使うことで解決しようと研究しています。このバイオ・ナノの界面には、まだ私たちが知らない新たな電気信号の伝達機構が隠されている可能性があるのです。皆さんは、タンパク質が「グラフェン」の電気伝導特性を制御する、と聞いたら一体どんなタンパク質を想像しますか?グラフェンは、ナノ材料の代表格として有名な炭素原子一層からなるナノシートです。早水先生が研究するタンパク質は、グラフェン吸着ペプチドという12個のアミノ酸からなる小さなタンパク質です。この遺伝子工学的にデザインされたタンパク質はグラフェンに吸着して、グラフェンの中の電子を減少させます。一般にこのような小さなタンパク質は、「ペプチド」と呼ばれています。先生の研究室では、これらのデザインされたペプチドを利用してエレクトロニクスとバイオを橋渡しすることをゴールとしています。同時に、エレクトロニクスに親和性のあるペプチドが、一方では絹糸タンパク質と同じ性質を持っていたり、難病として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因物質と目されるペプチドとそのアミノ酸配列が似ていたりすることなどにも注目(「筋萎縮性側索硬化症(ALS)原因蛋白の毒性メカニズムを解明」)しています。電子を扱うエレクトロニクスは、そもそも分子レベルでは生物学や医学と同じ学問なのかもしれません。というわけで、今回のシュレディンガーの水曜日(第10夜)では「エレクトロニクスはバイオにもっと近付けるか?」をみんなで一緒に覗いてみましょう。エレクトロニクスの未来が、少し違った角度で想像できるようになることでしょう。 募集要項 12月15日(水曜日)19:30-エレクトロニクスはバイオにもっと近づけるか?electronics will be closer to biotech講師:早水裕平(東京工業大学物質理工学院材料系 准教授)2000年 早稲田大学電気電子情報工学科を修了、2005年 東京大学理学系研究科物理学専攻修了(博士(理学))。同年より、産業技術総合研究所ナノカーボン研究センターに産総研特別研究員。2009年から2012年まで米国ワシントン大学にて研究員。2012年から現職。研究テーマは、ナノエレクトロニクス、ペプチド工学、ナノマテリアル工学、バイオセンシング工学など。詳細はこちらをご覧ください。・日程:2021年12月15日(水曜)19:30-21:30(予定)・Zoomを利用したオンラインイベント:お申込みいただくとPeatixの視聴タブに参加URLが表示されます。・お申し込み:先着100名を無料でご招待します(90名を超えそうになると締め切る可能性があります)シュレディンガーの水曜日は毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテーターが運営しています。レギュラーコメンテーターメインキャスター、MC原正彦:東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。レギュラーコメンテータ今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。レギュラーコメンテータ増井俊之:慶應義塾大学環境情報学部教授東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。司会進行およびMC竹田茂:スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997~2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来〜自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。