シンギュラリティサロン #23 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-11-15T09:38:38+09:00 Peatix あたろう シンギュラリティサロン #23 tag:peatix.com,2017:event-276334 2017-07-09T13:30:00JST 2017-07-09T13:30:00JST 講演13:30-15:00「人工意識の実現」15:00-15:30 自由討論講師 金井 良太 (株式会社アラヤ 代表取締役)定員 100名+α(先着順・入場料無料)※ご来場の際はナレッジサロン受付けで、シンギュラリティサロンに参加される旨、お伝え下さい。講演概要意識という主観的な現象も自然現象の一部であり、何らかの普遍性を持つ自然法則に従っているはずであり、どのような物理的条件または情報的条件において生じるかの基準は存在するはずである。また自然現象としての意識は、生物学的な脳のみが生み出すのではなく、脳以外の物理的基盤であっても、意識生成の必要十分条件を満たす物理システムであれば生み出すことが可能であると予想される。つまり原理的には人工意識の構築は可能であると考えられる。しかしながら、その本質的な条件が何であるかは、現時点ではわかっていない。 心理学や神経科学の研究から意識を必要とする認知課題とその神経学的機構を同定することで、意識と密接に関わる機能が浮かび上がってきている。意識と関連に深い機能として代表的なものとして、非反射的行動、トレース条件付け、短期記憶、行動のプランニングが上げられる。このような機能の共通項の分析に基いて、意識の本質的な機能は「反実仮想的な状況の感覚表現を内的なモデルに基いて生成する能力」であるという仮説を構築した。これを「意識の情報生成理論」と呼ぶ。本理論では、現在目の前で起きていることではなく、数秒程度の過去や未来の出来事を、視聴覚等の感覚情報のフォーマットによって内的に生成することが意識の機能であると考える。そのような機能を実現する必要条件としては、感覚運動ループを通じた環境との相互作用により「自己」を含んだ生成モデルの獲得が必要である。 この「意識の情報生成理論」によって、意図・注意・思考といった主観的な心理状態に対してメカニズムとしての解釈を与えることができる。さらに、我々は反実仮想の生成過程を現代的なニューラルネットワークによって実装し、反実仮想的に未来を生成することで行動の方策を選定するエージェントを構築した。「意識の情報生成理論」では、このような方針で人工意識のプロトタイプが構築できる可能性を含意している。本研究を通じて、情報生成するエージェントのプロトタイプでは、新しい目標が設定されてもフレキシブルに対応ができ、新しい環境を効率的に探索する「好奇心」を自然な形で実装できるという利点があるということが明らかになった。また、このような反実仮想を扱うために必要となる「情報生成」という観点が、これまでの脳の中やコンピュータ上での「情報処理」というものと、どのように違うのかについて検討する。特に両者はそれぞれ、機械学習的な文脈では、デコーディングとエンコーディングに対応し、予測符号化理論の観点では、予測と予測誤差に対応し、意識の統合情報理論んの観点では、結果情報と原因情報に対応付けられる可能性がある。これまでは、脳の中での「情報処理」がなぜ意識的経験を生み出すのかとハードプロブレムが問われてきたが、今回の情報生成理論では、新たな「情報生成」という観点から意識の問題を捉え直すことで、情報とクオリアの関係に新たな視点をもたらすことができるのではないかと期待している。主催シンギュラリティサロン共催株式会社ブロードバンドタワー、一般社団法人ナレッジキャピタル