学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『歴史とは何か』(E. H. カー著) 講師 : 山野弘樹 (哲学者) | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-08-04T13:28:32+09:00 Peatix The Five Books 学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『歴史とは何か』(E. H. カー著) 講師 : 山野弘樹 (哲学者) tag:peatix.com,2021:event-1948453 2021-07-06T20:00:00JST 2021-07-06T20:00:00JST 1) The Five Bookについて長く読み継がれている古典には、視界を開かされる鋭い視点が提示されていることや、読者の琴線に触れる言葉が散りばめられていること、現代でも重要さを全く失わない問題が提議されていることがあります。当たり前だと思っていたことをもう一度考え直すきっかけになったり、新たな考えが生まれたりすることも多いのではないでしょうか。一方で、古典には、用語や文脈・歴史背景の理解が不足していると理解できない箇所があることや、言い回しや論理構造の難解な箇所も多く、読み解くのに苦労することが多いのも確かです。また、周りに同じ本を読んでいる人を見つけるのが難しいこともあり、どうしても一人でその本と格闘することになってしまいます。The Five Booksは、古典を中心に、専門家のオンライン講義を受けながら30人の読者と共に2~4週間かけてじっくりと読む、"おそい" 読書を行う読書体験プラットフォームです。The Five Bookでの講義の流れについては、以下の図をご参照ください。 2) The Five Booksの特徴それぞれのペースで書籍を読み進め、週に一度の講義を受ける、というのが基本的な流れになります。開講期間中は、Slackの期間限定の読者グループへ参加します。他の読者と疑問点を共有したり、講師からの問いについて読者同士で考えを共有・議論する中で、読みながら考えることができます。The Five Bookの講義と読書グループのイメージについては、以下の図をご参照ください。The Five Booksの詳細は公式ウェブサイトをご参照ください。3) 講義内容多くの読書家にとって、「新書」とは最も馴染みのある書籍のジャンルの一つでしょう。そうした新書の中で、〈伝説的な名著〉と名高いロングセラー書籍があることを、皆さまはご存じでしょうか? その名も、イギリスの歴史家E. H. カーによる『歴史とは何か』(清水幾太郎訳)という著作です。「歴史とは何か」――タイトルの通り、それこそが本書の中で問われている根本問題です。ですが、「歴史」とは、ふつう「過去の事実」を示す言葉ですよね。こんな当たり前なことを、なぜE. H. カーという歴史家は大まじめに探究するのでしょうか?その理由は簡単です。「歴史とは何か?」という問いは、20世紀のみならず、21世紀においても数多くの哲学者・歴史家・教育者たちを悩ませ続けている、〈人類史上最大の難問の一つ〉だからです。2021年を迎え、今や私たちは「フェイク・ニュース」や「デマ」、「陰謀論」といった問題を正面から検討せねばならない時局を迎えました。・「何が正しい情報なのか?」・「どのような事実がそこで起こったのか?」こうした問題は、コロナ禍にあえぐ私たちの日常生活にさえ浸透しています。こうした意味で、「歴史とは何か?」という問いは、現代において最も重要な問いの一つであると言えるでしょう。本講義においては、E. H. カー『歴史とは何か』の精読に軸足を置きつつ、「歴史の哲学」に関する広範な哲学的問題を皆さまに解説していきたいと思います。非常にハイレベルな大学~大学院クラスの講義となりますが、知識ゼロの方でも安心して受講していただけるように、具体的かつ分かりやすい説明を心掛けてまいります。(さらに本講義は、未だ日本語の入門書が存在しない「20世紀の歴史哲学」を体系的に学ぶための、日本初の取り組みであるとも言えるでしょう。)岩波新書を代表する名著『歴史とは何か』を読むという皆さまの試みを、“ 唯一無二の上質な読書体験 ” へと高めることをお約束いたします。皆さまの積極的なご参加をお待ちしております。各講義の内容第1回(07月06日(火):20:00-21:30)まずは、『歴史とは何か』をより効果的に精読するための準備段階として、「歴史の哲学」という主題に含まれた哲学の問題に関して解説をしてまいりたいと思います。とりわけ、初回講義においては、「言語論的転回(linguistic turn)」および「歴史の物語論(narrative theory of history)」と呼ばれる議論に焦点を当てて解説を行います。初回から非常に重厚な議論が続きますが、「歴史の哲学」の根本問題を押さえることができるだけでなく、〈批判的思考〉・〈論理的思考〉の上質なトレーニングとしても大きな効果を発揮します。第2回(07月13日(火):20:00-21:45)第二回から、実際に『歴史とは何か』を読み進めてまいります。まずは第一章「歴史家と事実」および第二章「社会と個人」の講義を行います。あらかじめ述べておきますと、E. H. カーは「過去の事実」=「歴史」という議論を展開しておりません。「歴史」とは、〈それとは別の何か〉なのです。それでは、果たして「歴史」とは一体何なのでしょうか? そして、なぜカーはそのような着想を抱くに至ったのでしょうか?本講義においては、単にE. H. カーの議論の解説に留まるのではなく、カーの議論が立脚している前提を、現代哲学の見地から建設的に批判してまいりたいと思います。そのことで、本講義においてしか体得できない『歴史とは何か』の読書体験を得ることができるでしょう。第3回(07月20日(火):20:00-21:45)第三回においては、『歴史とは何か』の第三章「歴史と科学と道徳」および第四章「歴史における因果関係」の講義を行います。第三章において問われているのは、「歴史学は科学の一部か?」という問いです。これは「学問論」の観点から考察されるべきトピックです。そして第四章において問われているのは、「因果関係と意志とはいかなる関係にあるのか?」という問いです。これは「存在論」および「行為論」の観点から考察されるべきトピックです。本講義においては、『歴史とは何か』第三章・第四章をじっくりと精読するために必要な哲学(史)的な枠組みの解説を丁寧に行ってまいりたいと思います。その中で、「科学的思考とは?」、「人間はなぜ何らかの行為を行うのか?」といった根本的な問題にも私たちは取り組むことになるでしょう。第4回(07月27日(火):20:00-21:45)第四回においては、『歴史とは何か』の第五章「進歩としての歴史」および第六章「広がる地平線」の講義を行います。極めて大きな普遍性を有している第一章「歴史家と事実」および第二章「社会と個人」とは異なり、第五章・第六章は、今日においては大きな「時代的制約」を受けてしまっている章であるように見えるかもしれません。E. H. カーの時代と私たちの時代の間には、大きな隔たりが存在しています。ですが、そのような議論の中においても、やはり21世紀において受け継がれるべき卓越した洞察がいくつも存在するのは事実です。ですので私たちは、いったい何をカーの議論から継承し、何をカーの議論において批判すべきなのかという点を、丁寧に辿ってまいりたいと思います。それこそが、E. H. カーが望んだ「対話」を成就させる契機にも繋がるでしょう。私たちは――今からちょうど六十年前に行われたケンブリッジ大学の連続講演の受講者たちと同じように――E. H. カーとの「対話」の場に参席することになります。そしてそれは、紛れもなく、「古典」を介した思想家との〈終わりなき対話〉に他ならないのです。ヨーロッパの〈知の巨人〉との対話を、最高の仕方で行えるように授業をデザインしてまいりたいと思います。 三週間、よろしくお願いいたします。4) 講師からのメッセージはじめまして。東京大学で哲学の研究を行っている山野弘樹と申します。 普段は「現代フランス哲学」と呼ばれる領域(とりわけポール・リクール(Paul Ricœur, 1913 - 2005)という哲学者)の研究を行っているのですが、「より多くの方々に哲学の〈意義〉と〈魅力〉を知ってもらいたい」という理念のもと、一般の方向けの哲学系イベント(オンライン)も数多く主催しております。 (すでに累計2000名以上の方々にご参加していただいております。)私は大学時代に『読書について』を読んだことをきっかけに、哲学の世界へと足を踏み入れました。それ以降、〈知の巨人たち〉の哲学書を数多く読破することを通して、高度な「論理的思考」や「批判的精読」の技法を獲得することができました。私は「The Five Books」の講義において、これまで東京大学で体得してきた〈読書法〉および〈哲学的思考法〉を、分かりやすい言葉で受講者の皆さまにご提示したいと思います。また、「これまで哲学書を読んだ経験なんて一度もない」という方でも安心して付いてくることができるように、初学者目線の授業作りを丁寧に行ってまいります。「The Five Books」の立ち上げ当初から講師として携わっている者の矜持として、他の(類似したサービスの)講師の方々とは一線を画した講義を行うことをお約束いたします。日々の生活を変えるための、そしてこれからの人生を変えるための〈メタ思考能力〉を向上させたいすべての方(中高生・社会人・シニア世代の方)のご参加を、心よりお待ちしております。人文学最高峰の知(「哲学的思考法」)を、共に獲得してまいりましょう。5) 備考・お知らせ書籍は、参加者各自でご用意ください。講義にはWeb会議サービスのZoomを使用いたします。各講義は、録画のうえ参加者へ講義後に共有いたしますので、一部講義にご参加が難しい場合もご参加をいただけます。講義では、受講者の方に質問や受講者同士の対話を強要することはありません。講義中のご質問は、Zoomのチャットまたは音声で行うことができます。受講期間の対話ツールには、Slackを使用いたします。Zoom, Slack共に、本名またはニックネームでご参加いただけます。参加登録、お支払いは、peatixページにて行っていただきますようお願い申し上げます。参加申込期限は、07月05日の20:00となります。また、申込定員(30名)に達し次第受付を締め切らせて頂きます。本講義の最小決行人数は、5名とさせていただきます。07月04日の20:00の時点で最小決行人数に達していなかった場合は、本講義をキャンセルさせていただき、参加登録をされた皆様へご返金させていただきます。参加ご登録後のキャンセルについては、開講1週間前(6月29日)まで受付けます。peatixページよりキャンセル申請を行っていただきますようお願いいたします。その他のお問い合わせについては、トップページのお問い合わせ欄よりご連絡いただきますようお願い致します。