総合地球環境学研究所 創立20周年記念式典・シンポジウム第1部 人新世における総合地球環境学の未来 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-05-01T13:13:07+09:00 Peatix 総合地球環境学研究所 総合地球環境学研究所 創立20周年記念式典・シンポジウム第1部 人新世における総合地球環境学の未来 tag:peatix.com,2021:event-1866062 2021-04-23T13:00:00JST 2021-04-23T13:00:00JST 総合地球環境学研究所(地球研)は、2001年、「地球環境問題はことばの最も広い意味における人間の『文化』の問題である」と説いた日髙敏隆博士を初代所長に迎えて発足しました。地球環境問題を人類共通の課題と認識し、自然科学・人文学・社会科学の文理融合による学際研究に加え、社会と連携して問題解決をめざす超学際的アプローチを含めた「総合地球環境学」の構築をめざす研究活動を進めています。そして、2021年4月に地球研は創立20周年を迎えます。この節目にあたり、地球研の20年を振り返り、未来を考える催しとして、第1部と第2部から成るシンポジウムを2日間にわたって開催することになりました。第1部は主に研究者の方々を対象とし、総合地球環境学の未来を考えます。第2部は、より広い皆さまにもご参加いただきながら、人新世における人類と地球の未来可能性を考えます。皆さまのご参加をお待ちしております。お申し込みはこちら!https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_vudcl9DqQKq24qHQVV3vkAおって、zoomとYouTube LiveのURLをメールでお送りします。いずれかの方法でご覧ください。創立20周年記念式典・シンポジウム第1部人新世における総合地球環境学の未来** 第1部は主に研究者向けの内容となります。13:00 創立20周年記念式典開会挨拶 山極 壽一(総合地球環境学研究所 第四代所長 ※2021年4月1日着任)式辞・祝辞平川 南(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 機構長)杉野 剛(文部科学省 研究振興局 局長)西脇 隆俊(京都府 知事)門川 大作(京都市 市長)ファン デルー サンデル エルンスト(Sander Van Der Leeuw、総合地球環境学研究所 名誉フェロー)創立20周年記念シンポジウム第1部人新世における総合地球環境学の未来現代は、人類の活動が地球の隅々に影響を及ぼす新しい地質年代、「人新世(あるいは人類世)」であるともいわれています。そうした中、地球研は「人と自然はどういう関係を築き上げるべきか」を様々な角度から考えながら20周年を迎えました。学問の枠を飛び越え、文系・理系を問わず様々な研究者がともに知恵を出し合い、広く社会の皆さんとも協力しながら研究活動を進め、この20年間で37のプロジェクトが終了しました。大学共同利用機関として迎えた国内外の共同研究員の数は3,800人にのぼります。今回のシンポジウムでは、3つの終了プロジェクトを例にとり地球研の歩みを振り返るとともに、共同利用研究例や現在地球研で進む研究プロジェクト例をご紹介し、総合地球環境学の構築をめざす今後の地球研の進むべき方向を議論します。セッション1 地球環境問題をめぐる学術の動向このセッションでは、日本学術会議前会長である山極壽一地球研第四代所長が、国内外の学術研究の動向を背景に、地球環境問題を読み解く地球研の目指すべき方向を示唆するとともに、安成哲三地球研第三代所長が、Future Earthアジア地域センターなども運営してきたこれまでの地球研の取り組みをベースに、ポスト人新世における未来可能性を語ります。13:35開会挨拶・講演1 地球環境問題を文化の問題として読み解く山極 壽一(総合地球環境学研究所 第四代所長 ※2021年4月1日着任)人類による影響が過大となった人類世において、地球が抱える危機は自然科学から明確に指摘されている。しかし、その危機を乗り越えるためには私たち自身の世界観を根本から変えていく人文・社会科学的な改革が不可欠である。その切り口の一つとして地球研は、技術や組織が優先し普及力の強い文明ではなく、暮らしに埋め込まれていて地域性の濃い文化を対象としてきた。新型コロナウイルスのパンデミックを体験して、私たちは改めて地域の暮らしを見直すことになった。地球環境問題を意識しながら地域に固有な文化を持続させるためには、シェアとコモンズを拡大するような暮らしをデザインし、産官学民が協力して実施していくことが不可欠である。地球研が目指す超学際研究と未来可能性の追求がそれを実現すると期待している。13:50講演2 ポスト人新世における自然・文化共生系のあり方を考える安成 哲三(総合地球環境学研究所 第三代所長)講演概要(Coming soon)セッション2 地球研の挑戦とその歩み2001年に創設された地球研は、プログラム・プロジェクト制のもと、文理融合と超学際研究を標榜して独自の研究活動を展開してきました。本セッションでは、その20年の研究活動の歩みを概観するとともに、これまでに終了したプロジェクト3例および現在地球研で進行中のプロジェクト1例について、どのような研究活動を展開してきたのか、展開しているのか、地球研の歩みとどう関わってきたかという観点も交えてご紹介し、さらに、大学共同利用機関としてどのように大学の研究に貢献してきたか、その一例を共同利用者からご紹介いただきます。14:05講演3 地球研のこれまでの20年:我々はどこまできたのか谷口 真人(総合地球環境学研究所 副所長)地球環境問題の根源を人間文化の問題と捉えた地球研は、これまで37の大型国際共同研究プロジェクトを展開し、文理融合の学際研究と、社会の中の学術としての超学際研究を先導する実験場を提供してきました。その間、研究プロジェクトの個別成果に加え、コモンズやリスク/レジリエンス、越境や文明/文化と環境などの重要な概念が継承され、発展し、現在のプログラムに編み込まれています。そしてその成果は、これまでは地球環境研究とは縁がないと思われてきた分野に、より広く行き届き始めています。20年間の地球研の到達点としての視座を紹介します。14:20 講演4 歴史研究における文理融合の実践的課題中塚 武(名古屋大学大学院環境学研究科 教授)自然科学のいくつかの研究所を母体に誕生した地球研(Research Institute for Humanity and Nature)には、大学共同利用機関として、全国の大学の人文学の研究者を地球環境問題の解決に資する研究にいざなう責務があります。そのために地球研では設立以来、文明と環境の歴史的関係を問うプロジェクトを幾度となく行ってきましたが、必ずしも多くの人文学者に大きな影響を与えるには至っていないと思われます。そこで気候適応史プロジェクトでは、古気候学者が歴史学者や考古学者の懐に飛び込んで、人文学の論理を肌で体感しながら、学問を内部から変える大きな目標にチャレンジしてきました。まだ道半ばであるその取り組みの中間報告を、さまざまな角度から行いたいと思います。14:35 講演5 地球研とともに歩んだ20年:生態学はいかに貢献できたか奥田 昇(神戸大学内海域環境教育研究センター 教授)地球研の設立に中心的な役割を果たした京大生態研は、この20年間で数多のプロジェクトを主導してきました。生物と環境の相互作用を扱う生態学は、もともと自然科学の様々な分野を取り入れながら発展してきた歴史があります。さらに、人間活動が地球に無視できない影響を及ぼす人新世において、人と自然の相互作用を社会-生態システムとして捉えることにより、人文・社会科学との学際性も発揮してきました。栄養循環プロジェクトでは、これまでの生態研主導プロジェクトの研究リソースを継承しつつ、流域を対象とした超学際研究に取り組んできました。社会協働からの学びを反芻しながら、総合地球環境学の未来に生態学がいかに貢献しうるか考えてみたいと思います。14:50 講演6 みんなで作った「いただきます」:FEAST プロジェクトの物語スティーブン・マックグリービー(Steven R. McGreevy、総合地球環境学研究所 准教授)FEASTプロジェクトは、地球研の基幹研究プロジェクトとして、持続可能な食と農に関する地球研の先行研究を統合的に検証し、新しい方向性を広範に渡り打ち出してきました。本プロジェクトでは、決して持続可能とは言えない現在のフードシステムについて慎重に調査・検証し、持続可能な食の未来を根本的に描きなおし、社会変容の触媒となるツールや組織・ネットワークを市民のみなさんと協働で作成・構築してきました。そして、「超学際」をデザインの主軸とし、初期段階で設定していた概念の枠組みを超えて、各調査地にしっかりと根付く形で研究活動を進め、ポスト成長期の世界に向けた持続可能なフードシステムに対する理解・構想のあり方への変化の創出につながりました。15:05 講演7 インドに青空を ~Aakash プロジェクト~林田 佐智子(総合地球環境学研究所 教授/奈良女子大学研究院 教授)Aakash とは、ヒンディで「空」という意味です。インド各地で大気汚染が深刻ですが、特にインド北西部では10月から11月にかけて稲の収穫後に行われる大規模な藁焼きによって、深刻な大気汚染が発生しています。私達はこの問題に取り組むために、2年間の準備研究を経て令和2年度4月にフルリサーチを開始しましたが、新型コロナ感染拡大のためインドへの渡航ができなくなり、波乱の幕開けとなってしまいました。それでも、インドの協力者の援助を受けて、パンジャーブ州全県に渡るアンケート調査や、リモートセンシングを使った観測結果の解析などから、藁焼きと大気汚染の実態解明に取り組んでいます。私達の七転八倒しながらの活動の現状をご紹介します。15:15 講演8 同位体環境学の10年と地球研共同利用研究の可能性竹内 望(千葉大学理学研究院 教授)地球研が「同位体環境学」という旗を揚げて、今年2021年で10年を迎えました。旗揚げ当初から関わってきた所外関係者の1人として、この10年の同位体環境学の裾野の広がり方は、眼を見張るものがあります。当初は、地球研の特定プロジェクトの専門的分析技術として導入された同位体分析が、今は研究者から民間、地方自治体関係者まで、様々な分野の人が参加する、まさに超学際のプロジェクトに発展してきました。地球環境問題を同位体というメガネを使って見る視点は画期的です。地球研初代所長の日髙先生の言葉で言えば、新しい「環世界」を手に入れたことになります。一方、科学という「環世界」は、必ずしも問題解決に導くだけではなく、反対に問題を難しくする場合もあります。そこに地球研が挑むべき人間文化の問題があるように思います。次の10年も、さらに「同位体環境学」の裾野を広げて、地球環境問題の解決に資することを期待したいと思います。15:25 休憩セッション3 総合地球環境学の確立と発展を目指してこれまで積み重ね、現在も精力的に続ける研究活動を足掛かりに、私たちは総合地球環境学を確立し発展させることにより、地球環境問題の解決に挑み続けます。地球研の将来に向けてどのような枠組みが計画されているかをご紹介するとともに、地球環境問題を担う外部の若手の研究者も交え、人類と地球の未来可能性を担う総合地球環境学そして地球研の今後の展望を考えます15:35 講演9 地球研のこれから:我々はどこへ向かうのか谷口 真人効率性などの均質でわかりやすい価値観に基づく人間活動が世界に浸透し、地域に存在する多様な価値観に基づく人々の営みに脅威を与える「人新世」を迎えた現在、これからの地球環境研究はどうあるべきか。複雑な人間社会と自然の間に起こる地球環境問題を、環境や社会、経済、心身とどのように結びつけて理解し、どのような関係性を作り出すべきか。人新世の先にある未来社会のビジョンは何か、それをどのように作っていくのか。持続可能な社会へ向けての行動・制度・社会の変容は、どのように進めていくことができるのか。地球研のこれからの研究の方向性を、一緒に議論して行きたいと思います。15:45 パネルディスカッション 司会:近藤 康久(総合地球環境学研究所 准教授)山極 壽一林田 佐智子浅利 美鈴(京都大学大学院地球環境学堂 准教授)中尾 世治(総合地球環境学研究所 特任助教)