アメリカ文学に触れる3週間。学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『書記バートルビー』(ハーマン・メルヴィル著) 講師 : 冨塚 亮平 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-05-06T13:25:06+09:00 Peatix The Five Books アメリカ文学に触れる3週間。学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『書記バートルビー』(ハーマン・メルヴィル著) 講師 : 冨塚 亮平 tag:peatix.com,2021:event-1846682 2021-04-07T20:00:00JST 2021-04-07T20:00:00JST 1) The Five Bookについて長く読み継がれている古典には、視界を開かされる鋭い視点が提示されていることや、読者の琴線に触れる言葉が散りばめられていること、現代でも重要さを全く失わない問題が提議されていることがあります。当たり前だと思っていたことをもう一度考え直すきっかけになったり、新たな考えが生まれたりすることも多いのではないでしょうか。一方で、古典には、用語や文脈・歴史背景の理解が不足していると理解できない箇所があることや、言い回しや論理構造の難解な箇所も多く、読み解くのに苦労することが多いのも確かです。また、周りに同じ本を読んでいる人を見つけるのが難しいこともあり、どうしても一人でその本と格闘することになってしまいます。The Five Booksは、古典中心に、専門家のオンライン講義を受けながら30人の読者と共に2~4週間かけてじっくりと読む、"おそい" 読書を行う読書体験プラットフォームです。The Five Bookでの講義の流れについては、以下の図をご参照ください。 2) The Five Booksの特徴各々のペースで書籍を読み進め、週に一度の講義を受ける、というのが基本的な流れになります。開講期間中は、Slackの期間限定の読者グループへ参加します。他の読者と疑問点を共有したり、講師からの問いについて読者同士で考えを共有・議論する中で、読みながら考えることができます。The Five Bookの講義と読書グループのイメージについては、以下の図をご参照ください。 The Five Booksの詳細は公式ウェブサイトをご参照ください。3) 講義内容講義概要:この講義では、三週間かけてみなさんとアメリカの小説家ハーマン・メルヴィルの代表的中篇小説「書記バートルビー」(1853)を読んでいきます。みなさんのおそらく誰もが、一度は職場や学校であまり気が進まない仕事を頼まれた経験をお持ちだと思います。正直めんどうくさい、必ずしも自分がやる必要はないかもしれないそうした雑用を頼まれた時、みなさんはどうしたでしょうか?本心を隠して笑顔で仕事をこなしましたか?それとも、きっぱりと依頼を断り、その場を去ったでしょうか?この小説の主人公であるバートルビーは、そのいずれでもない、奇妙というほかない対応を続けることで、次第に事務所の同僚たちを混乱させていきます。今から150年以上前に書かれた本作は、邦訳で100ページほどの気軽に読める長さでありながらも、あらゆる読者に忘れがたい印象を残すバートルビーという人物の孕む豊かな謎ゆえに、現在に至るまで世界中で数多くの作家や思想家たちを触発し続けてきました。本講義は、「書記バートルビー」や文学一般に関心を持つ方に加えて、哲学や現代思想に興味がある方、とにかく日々の仕事がめんどうでストレスがたまっている方、仕事内容に違和感を抱いている方などに受講をおすすめします。ふだん小説をそれほど読まない方や、作品の背景は気にせず純粋に内容だけを楽しむのが好き、といった方も歓迎します。小説および講義内容に関する質問は、些細なものでも随時Slackにて受け付けます。まずは作品の圧倒的な面白さに浸った上で、不可解な人物バートルビーをめぐる謎についてみなさんと意見を交換しつつ、考えを深めていければと思います。積極的なご参加をお待ちしております。使用テクスト:「書記バートルビー」の翻訳は、集英社の世界文学全集にはじまり、国書刊行会、岩波文庫、ヴィレッジブックス、光文社古典新訳文庫、松柏社と数多く存在します。各自手に入れやすいものをご用意ください。講義では主に光文社版を使用予定ですが、有名ないくつかの箇所については、複数の既訳を比較してご紹介する予定です。また、必ずしも読了の必要はありませんが、『バートルビーと仲間たち』(2000)など、関連書籍についても講義内で何冊かご紹介します。各講義の内容:第一回(4月7日: 20:00-21:30)の内容:イントロダクションとなる初回ではまず、「書記バートルビー」(1853)の作者であるハーマン・メルヴィルの経歴について、『白鯨』(1851)などの代表作を中心に簡単に解説します。次に、メルヴィル作品のアメリカ文学/文化史における位置づけについて簡潔に確認した上で、次回以降に行う読解の準備として、受講者の方々が今後「書記バートルビー」を読み進めていく上で注意してもらいたい点、意識してほしい点を、いわゆるネタバレを避けつつ提示します。加えて、単に字面を追うのではない小説の読み方がどういったものか、具体例を用いてわかりやすい形で紹介します。第二回(4月14日: 20:00-21:30)の内容:第二回では、受講者の方々からの質問や疑問点を取り上げつつ、順を追って「書記バートルビー」の内容を確認していきます。読者に決してすっきりとした理解をもたらさない謎をはらんだ人物であるバートルビーについて、これまでになされてきたさまざまな解釈を具体的に紹介しつつ、時代背景などいくつかの視点を中心的に取り上げながら議論を行っていきます。また、次回の準備として、本作に登場する極めて印象的な「決まり文句」について概説します。第三回(4月21日: 20:00-21:30)の内容:第三回では、受講者の方々からのコメントを取り上げつつ、「書記バートルビー」にくりかえし登場する「決まり文句」を中心に、小説の細部について改めて議論を深めていきます。その際、本作が主に西洋でさまざまな現代思想家たちを刺激し続けてきた事実に着目し、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの「バートルビー、または決まり文句」(1993)、イタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンの『バートルビー 偶然性について』(1993)などを取り上げます。とはいえ、特に専門的な前提知識は必要ありません。彼らがどういった文脈で本作を取り上げてきたのかをなるべく噛みくだいて概観しながら、単に19世紀のアメリカを描くのみにとどまらない本作の魅力について、第二回とは別の角度から捉え直します。第四回(4月28日: 20:00-21:30)の内容:第四回では、まず受講者の方々から寄せられた疑問や指摘についてともに考えたのち、「書記バートルビー」がその後の作家たちに与えた影響について、二つの作品を中心的に取り上げながら検討します。スペインの作家エンリケ・ビラ=マタスの小説『バートルビーと仲間たち』(2000)、日本の劇作家坂手洋二の戯曲「バートルビーズ」(2015)はいずれも、21世紀に発表されたタイトルにバートルビーを冠した作品です。現代の作家をも触発し続けるバートルビーの謎について考察した上で、最後に改めて時間と空間を越えて世界中で読まれ続ける「書記バートルビー」の面白さについて、本文に戻ってみなさんとともに議論します。4) 講師から受講者へのメッセージ:はじめまして。冨塚亮平と申します。専門は19世紀以降のアメリカ文学、および文化です。これまでは主に、19世紀中頃に活躍した思想家・詩人のラルフ・ウォルド・エマソン(Ralph Waldo Emerson, 1803-1882)について研究してきました。現在は、哲学者スタンリー・カヴェル(Stanley Cavell, 1926-2018)など、その他の書き手にも研究対象を広げています。また、19世紀から現代に至るアメリカ文学や映画についても広く関心を持ち、いくつかの媒体で論考を発表しています。みなさんの中には、もしかすると哲学や社会学の本を読む場合以上に、解説を聞きながら小説を誰かとともに読むことがどういうことか、イメージしにくい方もいるかもしれません。もちろん、物語の読み方、味わい方にはひとつの正解はありません。周辺情報抜きで気軽に作品のみに触れた際にいだく感想や感覚は、固有の価値をもつ貴重なものです。しかし、先人の解釈と自らの読みを照らしあわせることが、より作品を深く楽しむコツをつかむための最も有効な方法のひとつであることも、まちがいありません。作品が書かれた時代背景や作品をめぐる影響関係、そしてこれまで作品がどう読み解かれてきたのかを踏まえて、改めて小説を精読する。そうした体験を通じてはじめて得られる「読みの快楽」を、本講座で少しでもみなさんと共有できれば幸いです。世代を問わず、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。 5) 備考・お知らせ書籍は、参加者各自でご用意ください。講義にはWeb会議サービスのZoomを使用いたします。各講義は、録画のうえ参加者へ講義後に共有いたしますので、一部講義にご参加が難しい場合もご参加をいただけます。講義では、受講者の方に質問や受講者同士の対話を強要することはありません。講義中のご質問は、Zoomのチャットまたは音声で行うことができます。受講期間の対話ツールには、Slackを使用いたします。Zoom, Slack共に、本名またはニックネームでご参加いただけます。参加申込期限は、04月6日の20:00となります。また、申込定員(30名)に達し次第受付を締め切らせて頂きます。本講義の最小決行人数は、5名とさせていただきます。4月5日の20:00の時点で最小決行人数に達していなかった場合は、本講義をキャンセルさせていただき、参加登録をされた皆様へご返金させていただきます。参加ご登録後のキャンセルについては、開講1週間前(3月31日)まで受付けます。peatixページよりキャンセル申請を行っていただきますようお願いいたします。その他のお問い合わせについては、トップページのお問い合わせ欄よりご連絡いただきますようお願い致します。 Updates tag:peatix.com,2021-03-09 09:33:16 2021-03-09 09:33:16 イベント詳細情報を更新しました。 Diff#946393 Updates tag:peatix.com,2021-03-08 14:00:58 2021-03-08 14:00:58 イベント詳細情報を更新しました。 Diff#945483