学びながら読む、4週間の "おそい" 読書 書籍 : 『思考と動き』(アンリ・ベルクソン著) 講師 : 濱田 明日郎 | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-05-01T13:40:18+09:00 Peatix The Five Books 学びながら読む、4週間の "おそい" 読書 書籍 : 『思考と動き』(アンリ・ベルクソン著) 講師 : 濱田 明日郎 tag:peatix.com,2021:event-1837669 2021-03-27T11:00:00JST 2021-03-27T11:00:00JST 1) The Five Bookについて 長く読み継がれている古典には、視界を開かされる鋭い視点が提示されていることや、読者の琴線に触れる言葉が散りばめられていること、現代でも重要さを全く失わない問題が提議されていることがあります。当たり前だと思っていたことをもう一度考え直すきっかけになったり、新たな考えが生まれたりすることも多いのではないでしょうか。 一方で、古典には、用語や文脈・歴史背景の理解が不足していると理解できない箇所があることや、言い回しや論理構造の難解な箇所も多く、読み解くのに苦労することが多いのも確かです。また、周りに同じ本を読んでいる人を見つけるのが難しいこともあり、どうしても一人でその本と格闘することになってしまいます。The Five Booksは、古典を中心に、専門家のオンライン講義を受けながら30人の読者と共に2~4週間かけてじっくりと読む、"おそい" 読書を行う読書体験プラットフォームです。The Five Bookでの講義の流れについては、以下の図をご参照ください。 2) The Five Booksの特徴 それぞれのペースで書籍を読み進め、週に一度の講義を受ける、というのが基本的な流れになります。開講期間中は、Slackの期間限定の読者グループへ参加します。他の読者と疑問点を共有したり、講師からの問いについて読者同士で考えを共有・議論する中で、読みながら考えることができます。The Five Bookの講義と読書グループのイメージについては、以下の図をご参照ください。 The Five Booksの詳細は公式ウェブサイトをご参照ください。3) 講義内容講義概要:何かの仕事を少しずつ進めるとき、自分なりに文章を書きはじめるとき、あるいはなんてことない生活の一瞬に、――「こうして自分のやっていることは、結局は誰かによってやり尽くされていて、別に今さら自分がやる意味もないのかな」と、ふと思うことはありませんか。ある哲学者がこんなことを言います。「私は以前に論じた問題、宇宙で続いていると思われる予見不可能な新しさの連続的な創造についてもういちど述べたい。自分のことを言えば、私はそれを絶えず経験していると思っている」……。(『思考と動き』、平凡社ライブラリー、141頁)。過去の反復ではなく、新しい何かが常に〈創造〉されている。―これが彼の哲学の「学説」です。生活態度や気持ちの問題ではありません。彼は、いまここで起こっている〈創造〉を厳密な事実として語ろうとしています。そのために彼は困難な理論的努力や独特の工夫を積み重ねていきます。哲学者の名はアンリ・ベルクソン(1859-1941)。生前から著名な哲学者でしたが、没後80年、今でも多くの研究者たちによって集中的に再読され、ベルクソンならではのアイデアの発掘が進み、その輝きはむしろ増しているように見えます。この講義では、先にも引用した、彼の小論・講演集である『思考と動き』 (1934)という著作を読みます。先に述べたように講演の名手として知られるベルクソンですが、この本に所収の文章たちもまた独特の美しさと凄みを備えていると思います。『思考と動き』には、哲学の〈方法〉、〈創造〉を思考する際に彼がどうしても必要とした方法に関する論述が集められています。今回の『思考と動き』講義は、哲学および哲学史一般に興味を持つ方だけではなく、以下のような方にもおすすめします(詳しい内容は「各講義の内容」をご覧ください)。—創造性の話題に関心を持つ方。—哲学的な思考法、哲学的な仕事の方法論に関心を持つ方。—これまでの巨大な「知の蓄積」との付きあいかたを再考したい方。哲学書に触れたことがない方でも、ベルクソンの思考の面白さとの出会いに貢献できるような講義を行う所存です。みなさまの積極的なご参加をお待ちしております。*本著の訳書は、レグルス文庫『思考と運動』、白水社『思考と動くもの』、岩波文庫『思想と動くもの』からも発刊されています。参加者はいずれの訳書でご参加いただいても構いませんが、講義や発表資料などは 『思考と動き』( 原 章二訳 平凡社)に沿って行いますのであらかじめご了承ください。各講義の内容:第一回 (3月27日(土): 11:00-12:30)の内容:『思考と動き』は比較的読みやすい文章で書かれていますが、内容が易しいわけではありません。精読に必要な前段階として、用いられている哲学的概念についての解説を行います。哲学史的な重みを備えた諸概念―「可能」・「現実」という対概念や、「存在」・「無」・「無秩序」といった概念―の持つ含意を展開しておきましょう。……とはいえ、難しく考える必要もまたありません。これらが長いこと論じられてきた概念だということは、むしろわれわれに身近すぎるほど身近な概念だということです。第1回はわれわれの日常的な世界の把握の仕方を改めて見直す、という回になるはずです。その意味で、この講義は〈哲学的思考〉のスタート地点になります。第二回(4月3日(土): 11:00-12:30)の内容:第二回講義では、『思考と動き』第3章「可能と現実」の読解・議論を行います。この際には、事前にSlackで共有された疑問・質問・提案・相談・意見・アイデア・雑談・事例などと相互作用しつつ、われわれの読み筋を構築していくことができます。「可能と現実」のテーマはずばり「創造行為」、クリエイティヴな活動です。「『ハムレット』といった天才的作品が創造される時、どのようなことが起こっていたのか?」「われわれはその「新しさ」をどのように感受できるのか?」といった問いに対して、「可能」と「現実」という対概念をフル活用して挑むことになります。その道中でわれわれは、日常的な「行為」や「意志」にまつわるふつうの思考習慣に変化を迫るような、スリリングな哲学の経験を味わうことができるはずです。第三回(4月10日(土): 11:00-12:30)の内容:第三回講義では、第4章「哲学的直観」の読解・議論に入ります。哲学という営みには、抽象的概念をピースとしたパズルを大昔からやっている、というイメージがついて回ります。もしそうであれば、みな似たようなピースでパズルを繰り返しているわけだから、主義A+主義B=主義C といった足し算・引き算で得られるものが哲学の全体像だということになる。しかし、そんなものは「盛り合わせサラダ」(!)でしかない、とベルクソンは述べ、むしろ単純な〈直観〉をこそ重んじる哲学の手法について語ります。「哲学的直観」は、この特殊な方法によるベルクソンなりの〈哲学史〉の読み方も提示しています。そこで、今回の講義では、大量の情報を「まとめ」て効率よく摂取することがほとんど日常となったわれわれにとっても、極めてアクチュアルな問題が取り扱われることにもなります。つまりこうです―「人類にとってますます重くなる「知の蓄積」といかに向き合うのか」。第四回(4月17日(土): 11:00-12:30)の内容:第四回講義では、第5章「変化の知覚」の読解・議論に入ります。タイトル通り、何らかの「変化」をわれわれが「知覚」することを取り扱います。パッとしないテーマとも見えますが、「変化の知覚」に立ち返ること、それこそがベルクソンにとっての〈哲学〉に他なりません。彼にとって哲学とは結局どういう営みなのでしょうか?講義では、カントの『純粋理性批判』に対するベルクソンの態度など、避けては通れない文脈について確認します。その上で、「芸術」「記憶」「生命」「時間」について超スピードで論じていく、実にベルクソンらしい議論を追跡します。第五回(4月24日(土): 11:00-12:30)の内容:第五回講義では、第6章「形而上学入門」の読解・議論に入ります。講義の最終回にふさわしく、他のものと比べればヴォリュームもあり、凝縮された文体で専門性の高い議論が続きます。しかし第1回~第4回の蓄積があれば、かなり内容に入っていきやすいはずです。ベルクソンは既存の概念・既存の学説に彼なりの意味を充填しなおし、彼の学説を代表するアイデアである「持続」の実在を論じていきます。当時のベルクソンが惜しむことなく理論的成果を盛り込んだ、内容豊富な論文です。「科学」と「哲学」の関係といった、現代的な話題の広がりも持ち合わせています。時間の許す限り、彼のアイデアを丁寧にすくい上げていきましょう。4) 講師から受講者へのメッセージ:はじめまして。京都大学の濱田明日郎と申します。ふだんは、アンリ・ベルクソンというフランスの哲学者の著作の解釈を通じて、哲学研究に携わっております。とりわけ、上でも挙げた〈創造〉の話題に関心があります。ベルクソンの思考のおもしろいところは、ある問題について論争中の両陣営がともに立っている前提そのものを突き崩し、その問題がもはや問題とならないような、別の地平を開いてしまうことです。その結果として得られる、世界の見方が一新されるような経験には、何物にも代えがたい、長続きする喜びがあります。もしそのような喜びが少しでも共有できたら、本当に素晴らしいことです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。 5) 備考・お知らせ書籍は、参加者各自でご用意ください。*本著の訳書は、レグルス文庫『思考と運動』、白水社『思考と動くもの』、岩波文庫『思想と動くもの』からも発刊されています。参加者はいずれの訳書でご参加いただいても構いませんが、講義や発表資料などは 『思考と動き』( 原 章二訳 平凡社)に沿って行いますのであらかじめご了承ください。講義にはWeb会議サービスのZoomを使用いたします。各講義は、録画のうえ参加者へ講義後に共有いたしますので、一部講義にご参加が難しい場合もご参加をいただけます。講義では、受講者の方に質問や受講者同士の対話を強要することはありません。講義中のご質問は、Zoomのチャットまたは音声で行うことができます。受講期間の対話ツールには、Slackを使用いたします。Zoom, Slack共に、本名またはニックネームでご参加いただけます。参加申込期限は、03月26日の20:00となります。また、申込定員(30名)に達し次第受付を締め切らせて頂きます。本講義の最小決行人数は、5名とさせていただきます。03月25日の20:00の時点で最小決行人数に達していなかった場合は、本講義をキャンセルさせていただき、参加登録をされた皆様へご返金させていただきます。参加ご登録後のキャンセルについては、開講1週間前(03月20日)まで受付けます。peatixページよりキャンセル申請を行っていただきますようお願いいたします。その他のお問い合わせについては、トップページのお問い合わせ欄よりご連絡いただきますようお願い致します。