学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『歴史とは何か』(E. H. カー著) 講師 : 山野弘樹 (哲学者) | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2021-03-18T13:20:25+09:00 Peatix The Five Books 学びながら読む、3週間の "おそい" 読書 書籍 : 『歴史とは何か』(E. H. カー著) 講師 : 山野弘樹 (哲学者) tag:peatix.com,2021:event-1800001 2021-02-17T20:00:00JST 2021-02-17T20:00:00JST 1) The Five Bookについて 長く読み継がれている古典には、視界を開かされる鋭い視点が提示されていることや、読者の琴線に触れる言葉が散りばめられていること、現代でも重要さを全く失わない問題が提議されていることがあります。当たり前だと思っていたことをもう一度考え直すきっかけになったり、新たな考えが生まれたりすることも多いのではないでしょうか。 一方で、古典には、用語や文脈・歴史背景の理解が不足していると理解できない箇所があることや、言い回しや論理構造の難解な箇所も多く、読み解くのに苦労することが多いのも確かです。また、周りに同じ本を読んでいる人を見つけるのが難しいこともあり、どうしても一人でその本と格闘することになってしまいます。The Five Booksは、古典中心に、専門家のオンライン講義を受けながら30人の読者と共に2~4週間かけてじっくりと読む、"おそい" 読書を行う読書体験プラットフォームです。The Five Bookでの講義の流れについては、以下の図をご参照ください。 2) The Five Booksの特徴 各々のペースで書籍を読み進め、週に一度の講義を受ける、というのが基本的な流れになります。開講期間中は、Slackの期間限定の読者グループへ参加します。他の読者と疑問点を共有したり、講師からの問いについて読者同士で考えを共有・議論する中で、読みながら考えることができます。The Five Bookの講義と読書グループのイメージについては、以下の図をご参照ください。 The Five Booksの詳細は公式ウェブサイトをご参照ください。3) 講義内容講義概要:多くの読書家にとって、「新書」とは最も馴染みのある書籍のジャンルの一つでしょう。そうした新書の中で、〈伝説的な名著〉と名高いロングセラー書籍があることを、皆さまはご存じでしょうか? その名も、イギリスの歴史家E. H. カーによる『歴史とは何か』(清水幾太郎訳)という著作です。「歴史とは何か」――タイトルの通り、それこそが本書の中で問われている根本問題です。ですが……この問題提起、少し不思議だとは思いませんか? 「歴史」とは、ふつう「過去の事実」を示す言葉ですよね。こんな自明なことを、なぜE. H. カーという歴史家は大まじめに探究するのでしょうか?その理由は簡単です。「歴史とは何か?」という問いは、20世紀のみならず、21世紀においても数多くの哲学者・歴史家・教育者たちを悩ませ続けている、人類史上最大の難問の一つだからです。「歴史」と呼ばれる事象について徹底的に考えていくためには、私たちは数多くの哲学の議論――存在論・認識論・他者論・言語哲学・物語論・フィクション論等――を通過していかねばなりません。これらすべての哲学の基本問題をおさえた上で、ようやく挑戦することのできる哲学の応用問題こそが、「歴史とは何か?」という根本問題なのです。2021年を迎え、今や私たちは「フェイク・ニュース」や「デマ」、「陰謀論」の類に対抗せねばならない時局となりました。「何が正しい情報なのか?」、「どのような事実が実際そこで起こったのか?」……こうした問題は、コロナ禍にあえぐ私たちの日常生活にさえ浸透しています。こうした意味で、「歴史とは何か?」という問いは、まさに現代的な意義を持つ問いの一つであるとも言えるでしょう。本講義においては、E. H. カー『歴史とは何か』の精読に軸足を置きつつ、「歴史の哲学」に関する広範な哲学的問題を〈分かりやすい言葉で〉皆さまに解説していきたいと思います。常識的な知性を揺さぶるような難問が続きますが、本講義(全4回)を通して得られるものは極めて大きいと確信しております。皆さまの積極的なご参加をお待ちしております。各講義の内容:第一回 (2月17日 20:00-21:30)の内容:まずは、『歴史とは何か』をより効果的に精読するための準備段階として、「歴史の哲学」という主題に含まれた数多くの哲学の難問に関して解説をしてまいりたいと思います。とりわけ、初回講義においては、「言語論的転回(linguistic turn)」および「歴史の物語論(narrative theory of history)」と呼ばれる議論に焦点を当てて解説を行います。初回から非常に重厚な哲学の議論が続きますが、「歴史の哲学」の根本問題を押さえることができるだけでなく、〈哲学的思考〉のトレーニングとしても極めて有効であると思われます。*第一回講義のみ90分間となります。第二回 (2月24日 20:00-21:45)の内容:第二回から、実際に『歴史とは何か』を読み進めてまいります。まずは第一章「歴史家と事実」および第二章「社会と個人」の講義を行います。あらかじめ述べておきますと、E. H. カーは「過去の事実」=「歴史」という議論を展開しておりません。「歴史」とは、〈それとは別の何か〉なのです。それでは、果たして「歴史」とは一体何なのでしょうか? そして、なぜカーはそのような着想を抱くに至ったのでしょうか?本講義においては、単にE. H. カーの議論の解説に留まるのではなく、カーの議論が立脚している前提を、現代哲学の見地から建設的に批判してまいりたいと思います。そのことで、本講義においてしか体得できない『歴史とは何か』の読書体験を得ることができると思われます。第三回 (3月3日 20:00-21:45)の内容:第三回においては、『歴史とは何か』の第三章「歴史と科学と道徳」および第四章「歴史における因果関係」の講義を行います。第三章において問われているのは、「歴史学は科学の一部か?」という問いです。これは「学問論」の観点から考察されるべきトピックです。そして第四章において問われているのは、「因果関係と意志とはいかなる関係にあるのか?」という問いです。これは「存在論」および「行為論」の観点から考察されるべきトピックです。本講義においては、『歴史とは何か』第三章・第四章をじっくりと精読するために必要な哲学(史)的な枠組みの解説を丁寧に行ってまいりたいと思います。その中で、「科学的思考とは?」、「人間はなぜ何らかの行為を行うのか?」といった根本的な問題にも私たちは取り組むことになるでしょう。第四回 (3月10日 20:00-21:45)の内容:第四回においては、『歴史とは何か』の第五章「進歩としての歴史」および第六章「広がる地平線」の講義を行います。極めて大きな普遍性を有している第一章「歴史家と事実」および第二章「社会と個人」とは異なり、第五章・第六章は、今日においては大きな「時代的制約」を受けてしまっている章であるように見えるかもしれません。E. H. カーの時代と私たちの時代の間には、大きな隔たりが存在しています。ですが、そのような議論の中においても、やはり21世紀において受け継がれるべき卓越した洞察がいくつも存在するのは事実です。ですので私たちは、いったい何をカーの議論から継承し、何をカーの議論において批判すべきなのか――そうした点を、丁寧に辿ってまいりたいと思います。それこそが、E. H. カーが望んだ「対話」を成就させる契機にも繋がるでしょう。私たちは――今からちょうど六十年前に行われたケンブリッジ大学の連続講演の受講者たちと同じように――E. H. カーとの「対話」の場に参席することになります。そしてそれは、紛れもなく、「古典」を介した思想家との〈終わりなき対話〉に他ならないのです。4) 講師から受講者へのメッセージ:はじめまして。東京大学で哲学の研究を行っている山野弘樹と申します。普段はポール・リクール(Paul Ricœur, 1913-2005)という現代フランスの哲学者の研究をしているのですが、「より多くの方々に哲学の〈意義〉と〈魅力〉を知ってもらいたい」という理念のもと、一般の方向けの哲学系イベント(オンライン)も数多く主催しております。(すでに累計1000人以上の方々にご参加していただいております。)私は大学時代に『読書について』を読んだことをきっかけに、哲学の世界へと足を踏み入れました。それ以降、数多くの哲学書を読破することを通して、「批判的読解力」や「論理的思考力」を獲得してまいりました。(その成果は、私の研究論文の業績数に直接反映されております。)私は「The Five Books」の講義において、これまで東京大学で体得してきた〈読書の方法〉および〈哲学的な思考の方法〉を、分かりやすい言葉で受講者の皆さまにご提示したいと思います。「これまで一冊も哲学書を読んだ経験がありません!」という方でも大丈夫です。日々の生活を変えるための、そして、これからの人生を変えるための〈メタ思考能力〉を向上させたいすべての方(中高生・社会人・シニア世代の方)のご参加を、心よりお待ちしております。 5) 備考・お知らせ書籍は、参加者各自でご用意ください。講義にはWeb会議サービスのZoomを使用いたします。各講義は、録画のうえ参加者へ講義後に共有いたしますので、一部講義にご参加が難しい場合もご参加をいただけます。講義では、受講者の方に質問や受講者同士の対話を強要することはありません。講義中のご質問は、Zoomのチャットまたは音声で行うことができます。受講期間の対話ツールには、Slackを使用いたします。Zoom, Slack共に、本名またはニックネームでご参加いただけます。参加申込期限は、02月16日の20:00となります。また、申込定員(30名)に達し次第受付を締め切らせて頂きます。本講義の最小決行人数は、10名とさせていただきます。02月15日の20:00の時点で最小決行人数に達していなかった場合は、本講義をキャンセルさせていただき、参加登録をされた皆様へご返金させていただきます。参加ご登録後のキャンセルについては、開講1週間前(02月10日)まで受付けます。peatixページよりキャンセル申請を行っていただきますようお願いいたします。その他のお問い合わせについては、トップページのお問い合わせ欄よりご連絡いただきますようお願い致します。