「愛され」と「自分らしさ」の罠を超えてー『ダイエット幻想ーやせること、愛されること』刊行記念トークショー | Peatix tag:peatix.com,2011:1 2019-11-01T08:37:42+09:00 Peatix koishikawa 「愛され」と「自分らしさ」の罠を超えてー『ダイエット幻想ーやせること、愛されること』刊行記念トークショー tag:peatix.com,2019:event-1342169 2019-10-24T19:00:00JST 2019-10-24T19:00:00JST 「愛され」と「自分らしさ」の罠を超えて ー『ダイエット幻想ー愛されること、やせること」刊行記念トークショーやせたい80年代から若い女性を中心に広がりだしたこと気持ちは、今や老若男女すべての人の想いになりました。その気持ちは、どこかで少なからず、「認められたい」「愛されたい」という承認欲求と結びつきます。身体が軽くなる。ただそれだけのことが他者からの承認をもたらすのは、よく考えたら不思議なことです。しかし今の社会では、他者から褒められる手っ取り早い方法がやせることであることは、多くの人にとって疑いのようのない事実でしょう。性格を変えることも、他者を変えることも難しいけれど、やせれさえすれば、他者からの羨望や賞賛をもらうことができる。この事実が多くの人を、ときに「健康のため」という宣言を隠れ蓑とし、ダイエットに駆り立てます。加えて世に溢れるダイエットマニュアルは、私たちの承認欲求をたくみに刺激し、「やり方さえ間違えなければ、あなたは見違えるようなスリムな身体になれる。もっと輝かしい人生を手に入れることができると」と耳元で囁きます。ダイエットは、このような形で私たちの承認欲求と、それを達成するための変身願望と結びつくのです。ところが、このささやきに囚われすぎると、私たちはむしろ自分を手放し、他者の声に漂流することなります。自分がこれまで長い時間をかけて培い、体の中に溶け込んな緩やかな食べ方の法則ではなく、「正しい食事」の方法、栄養学の知識、BMIなど、他人が作った方法や指標で、自分をがんじがらめにし、それがないと怖くて食べられなくなってしまうのです。その最たる例が、体重や栄養素が気になりすぎて、普通に食べる事とがとても難しくなってしまうタイプの摂食障害です。この現代社会に住む限り、やせ願望を捨て去ることや、ダイエットの一切を止めることは難しいでしょう。でも「やせれば何かが変わる」というメッセージから少しだけ距離を取り、自分を手放さない食べ方、他者の声に漂流しない生き方を見つけることは可能であるはずです。本イベントでは、20年に渡り、やせ願望や摂食障害の問題を扱い、10月にその集大成である『ダイエット幻想』の上梓した、人類学者の磯野真穂さん、聞き手に摂食障害や外見の問題を取材し続けてきた記者である水野梓さんお迎えしトークショーを開催します。また『ダイエット幻想』の最終章は、本著と同時期に刊行された、哲学者・宮野真生子さんとの共著、『急に具合が悪くなる』に入れ込むことのできなかった、磯野さんと宮野さんの問題意識の融合でもあります。磯野さんと宮野さんのお二人は、ダヴルノマという名前のユニットとして活動してこられました。宮野さんは2014年に『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』を、磯野さんが2015年に『なぜふつうに食べられないのか』を、それぞれ初の単著として上梓しました。ーーーーーー人間の3大欲求と言われる食欲・性欲・睡眠欲。このうち、前者二つはそれを満たすため、自分と世界を積極的にかかわらせる必要が生じる。他者/食べ物との関わりは喜びでもあるが、他方その関わりは、自分を傷つける可能性も孕む「怖いもの」である。このため私たちは食や性に関する細かなルールを共有し、その怖さを減らそうとするが、翻ってその「ルール」に縛られすぎると一体何が起こるのか?性を扱った『なぜ恋』と食を扱った『なぜふつ』は、この点において問題意識を共有し、その問題意識は『急に具合が悪くなる』にそのまま引き継がれた。 性と食に関心がある方だけでなく、ダヴルノマに通底した問題意識をより知りたい方にオススメの2冊。ーーーーーー磯野さんは、このイベントに合わせて展開する書籍フェアに寄せた文でそう書いてくれました。本来であれば、この問題意識は今年8月1日に、ここ神楽坂モノガタリで予定されていたイベントで公開するはずだったのでした。しかし宮野さんの体調悪化により、イベントそのものの計画が諦められていた経緯があります。本イベントでは、その融合の経緯も紹介。『急に具合が悪くなる』に関心を持った皆様にもオススメのイベントとなっています。「愛され」と「自分らしさ」の罠をキーワードに、やせ願望と承認欲求から程よい距離を取る方法を一緒に考えていきましょう。【出演者プロフィール】磯野真穂(いそのまほ)さん国際医療福祉大学大学院准教授。1999年、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。オレゴン州立大学応用人類学研究科修士課程修了後、2010年、早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文化人類学、医療人類学。 著書に『なぜふつうに食べられないのか――拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――いのちの守り人の人類学』(ちくま新書)、『急に具合が悪くなる』(晶文社、宮野真生子との共著)などがある。水野梓(みずのあづさ)さん朝日新聞の編集者・記者。2008年に朝日新聞へ入社、大分・新潟・大阪を経て、2017年~19年4月まで朝日新聞科学医療部・医療サイトアピタルの記者・編集者。現在は総合プロデュース室メディア開発チームで新しいサイトをつくるお仕事をしています。体形や外見への過度なプレッシャーがある現状に危機感をおぼえ、摂食障害の当事者に取材を続けています。マンガや映画、大相撲が好きなにわカープファンで、磯野さんと同じ左利き。ーーーーー