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  • 当日券は3100円 (1ドリンク付き)です。ゲンロン友の会会員証または学生証のご提示で2600円になります。
  • お席はチケット購入順ではなく、当日ご来場になった方から順にご案内致します。
  • 友の会会員限定指定席にはキャッシュバックはありません。複数席を予約される場合は、お連れの方が友の会会員でなくても結構です。

【イベント紹介】


2014年、宝塚歌劇団は100周年を迎えた。

女性が男役を演じる劇団で、未婚の女性しか生徒(劇団員のこと)でいられず、その数は400人以上、毎月新たな演目を宝塚と東京の大劇場で上演。個性の面でも規模の面でも、宝塚歌劇団は世界でも珍しい、日本が誇るべき文化である。宝塚研究の第一人者川崎賢子をお迎えし、宝塚歌劇の100年から日本文化の力と可能性、日本における女性文化、そして宝塚の魅力を語り尽くす!


宝塚歌劇を観に行ったことがないひとでも、大きな羽根飾りを背負ってスパンコールの衣装を着た男装の麗人と美女たちが、電飾でキラキラする大階段を降りてくる図は目にしたことがあるかもしれない。劇場に行ったことのないひとには、奇異なものに思われるかもしれないが、ファンにとってはあこがれの、華やかな舞台の世界だ。


劇団員になるには、難関の宝塚音楽学校に合格しなければならない。そこで2年間の厳しいレッスンを終えた未婚の女性のみが、宝塚大劇場の大階段を歩くことができる。宝塚+パリジェンヌで「タカラジェンヌ」と呼ばれる彼女たちは、職業を持つ自立した女性たちの先がけだ。天海祐希や檀れい、真矢みきのように、退団後、日本を代表する女優になったタカラジェンヌも少なくない。また、たとえば漫画家の手塚治虫は宝塚の大ファンで『リボンの騎士』のような宝塚に想を得た作品も生まれている。宝塚歌劇は劇団の外における文化形成にも大きく貢献している。


独自性の点でも規模の点でも、宝塚歌劇は世界に誇るべき日本文化だ。とはいえ、かつては劇場文化の枠内での批評はなされても、社会と文化の歴史の文脈で論じられることは少なかった。そんななかで川崎賢子の『宝塚 消費社会のスペクタクル』(講談社選書メチエ、1998年)『宝塚というユートピア』(岩波新書、2005年)は、20世紀初頭から続く宝塚歌劇の歴史を、日本社会の動きとともに捉えた画期的な本だ。また、この3月に刊行された『宝塚百年を越えて 植田紳爾に聞く』(国書刊行会)は、戦後の宝塚歌劇の中核を担う演出家の優れたオーラルヒストリーだ。宝塚という女性のみの劇団が、和洋の文化を折衷させながら、いかに新しいものを生み出し、また生き残ってきたか、『ベルサイユのばら』の演出家の生涯を通じて、克明に描き出されている。

しかし宝塚歌劇は、かつては劇場文化の枠内での批評はなされても、社会と文化の歴史の文脈で論じられることは少なかった。そんななかで川崎賢子の『宝塚 消費社会のスペクタクル』(講談社選書メチエ、1998年)『宝塚というユートピア』(岩波新書、2005年)は、20世紀初頭から続く宝塚歌劇の歴史を、日本社会の動きとともに捉えた画期的な本だ。また、この3月に刊行された『宝塚百年を越えて 植田紳爾に聞く』(国書刊行会)は、戦後の宝塚歌劇の中核を担う演出家の優れたオーラルヒストリーだ。宝塚という女性のみの劇団が、和洋の文化を折衷させながら、いかに新しいものを生み出し、また生き残ってきたか、『ベルサイユのばら』の演出家の生涯を通じて、克明に描き出されている。


川崎が提示するのは、女性を担い手・消費者とする新たな文化の中心的存在としての宝塚だ。たとえば、まだ女優が卑しいものだと考えられた頃に、女性が舞台に立つことを正当化し、むしろ「上品」なものとして提示するための仕掛けが、「学校」だった。良家の子女が学校で修行した後、女性だけの舞台に立つ。こうした枠組みは、江戸期にはなかった「女優」の職業が正統化されるひとつの契機となった。もっとも、宝塚では「女優」という言葉はいまでも用いらず、劇団員は「生徒」と呼ばれ続ける。


宝塚の母体は阪急電鉄。大阪の中心部から、万葉時代からの観光地・有馬温泉へと鉄道を引くはずが途中で頓挫し、宝塚という田舎町が終点となった。歌劇団はこの僻地・宝塚に客を呼ぶべく作られた動員のシステムだった。ここで生まれたのが家族で電車でレジャーに行くという新しい生活スタイルであり、のちには女性が平日に電車で歌劇を観に行くというスタイルが形成されていく。他方、歌劇のコンテンツのなかでは、たとえば不倫の恋になやむマリー・アントワネット(『ベルサイユのばら』)、夫を捨てて自分探しの旅に出るエリザベート(『エリザベート』)といった、新しい女性像が打ち出されていく。


今回のトークショーでは、宝塚の大専門家川崎賢子と、少女時代を阪急宝塚線沿線で過ごし、小学生から高校生まで宝塚にはまっていたゲンロンの上田洋子が、宝塚の歴史・魅力・未来について語り尽くす。ロシア文学者の上田がロシア語を学んだきっかけのひとつに、中学時代に見た宝塚版『戦争と平和』があった。宝塚は文学少女を育てるメディアでもある。

欧米を手本とした明治以降の文化形成の歴史、消費文化とのつながり、そしてジェンダーまで、幅広い論点から宝塚を論じる、ファンも宝塚初心者も必見の超タカラヅカトークが実現!



【出演者紹介】


川崎賢子(かわさき・けんこ)



日本映画大学教授。近現代日本文学、日本文化、演劇、芸能研究。

著書に『彼等の昭和』(サントリー学芸賞)、『宝塚というユートピア』(岩波新書)、『尾崎翠 砂丘の彼方へ』(岩波書店)、『宝塚百年を越えて 植田紳爾に聞く』(国書刊行会)など。

共編著に『定本久生十蘭全集』(国書刊行会)、『占領期雑誌資料大系 文学編』(岩波書店)など。


上田洋子(うえだ・ようこ)




撮影:新津保建秀

1974年生。ロシア文学者、ロシア語通訳・翻訳家。博士(文学)。早稲田大学・専修大学非常勤講師。

著書に『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド  思想地図β4-1』(調査・監修、ゲンロン、2013)、『瞳孔の中  クルジジャノフスキイ作品集』(共訳、松籟社、2012)など。展示企画に「メイエルホリドの演劇と生涯:没後70年・復権55年」展(早稲田大学演劇博物館、2010)など。


【注意事項】

  • チケットキャンセルの場合の払い戻しは受け付けられません。予めご了承ください。
  • 当日、ゲンロン友の会会員証または学生書提示で500円キャッシュバックいたします(併用不可、学生証は国立公立学校または学校法人が発行したもの)。
  • チケット料金は税込価格です。
  • 開場は開演1時間前の18時となります。
  • イベントの録画・録音はご遠慮下さい。
  • 本イベントはインターネットでの動画配信(ゲンロンカフェ完全中継チャンネル)を予定しており、ご来場のお客様の映像が映り込む可能性がございます。あらかじめご了承ください。