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エコシステムの創造と破壊

21世紀の経済社会構造を展望する


MIT マイケル・クスマノ教授を迎えて
http://web.mit.edu/cusumano/www/


日時 2016年10月2日 10 :00-18:00

(18:30より近隣レストランで懇親会を開催)



プログラム概要


午前の部 (10:00-12:30)


開会挨拶

辻本将晴 東京工業大学准教授(大会委員長)


基調講演 I 「21 世紀のエコシステムを展望する」

平野正雄 早稲田大学教授、ビジネスモデル学会会長


講演 I 「ビジネスモデルからビジネスエコシステムへ -日本発コンサルティングのチャレンジ-」

八尋俊英 株式会社日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長


研究発表( 9 本、2 会場にて)


午後の部 (13:30-17:30)


講演 II 「自然エコシステム環境問題の解決と、日本企業によるサプライチェーンのイノベーション」

東梅貞義 WWFジャパン 自然保護室長


対談 I 「都市モビリティは、どう進化するのか」

川鍋一朗 日本交通株式会社代表取締役会長、JapanTaxi 株式会社代表取締役社長

尾原和啓 Fringe81 執行役員、執筆・IT 批評家


対談 II 「日本のコンテンツの世界化は可能か…リオオリンピック閉会式の手ごたえも含めて」

中村伊知哉 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授(予定)

森祐治 電通コンサルティング執行役員


対談 III 「FC による二次元生産革命とエコシステム構築」

長谷川卓也 日産自動車株式会社 総合研究所 主任研究員

辻本将晴 東京工業大学准教授


基調講演 II  “Strategy Rules: Five Timeless Lessons from Bill Gates, Andy Grove, and Steve Jobs”

Michael Cusumano, Sloan Management Review Distinguished Professor of Management MIT Sloan School of Management


閉会の辞

平野正雄


懇親会 (18:00-20:00)




講演概要


講演 I

「ビジネスモデルからビジネスエコシステムへ -日本発コンサルティングのチャレンジ-(仮)」

「ビジネスモデルからビジネスエコシステムへ -日本発コンサルティングのチャレンジ-」

八尋俊英


メガトレンドで中長期に世の中を見てみると、産業・市場で主役が交代している背景には確かに IT 技術の発展を巧みに活用している例はみられるが、その技術発展と相まって市場の在り様、つまりビジネスモデルの変化を求めるパワーシフトが起きていることもわかることがある。


 従来のようなビジネスモデルに固執していては時代の大きな変化による産業・事業そのものの構造変化を見誤る時代。ICT でつながる関係の究極は最終決定権のあるユーザーとその情報を収集加工、サービスを行う事業者とその関係性に集中していく。


 現在の産業領域の境界がますますあいまいになり、よりユーザーへパワーシフト。モノを持つことの価値の低下は長期的に続き、サービス化の進展は製造そのものよりも流通へのパワーシフト、ユーザパワーを取り込めるかどうかにかかっている。ビジネス体系そのものがテクノロジーの変化、ユーザーの変化で大幅に揺れ動いているため、そのエコシステムを維持発展できる視野を持った企業経営者が生き残る時代へ変わりつつある。


 新しい世界を見据えて企業経営や事業企画を行う際や一人の人間としてキャリアを構築して生き抜くには「ビジネスモデルからビジネスエコシステム」への変化を俯瞰していた方が良いと考え、弊社日立コンサルティングにおいてはミッションステイトメントにも実装、戦略的視座にしている点についても紹介したい。



講演 II

「自然界エコシステムの危機(仮)」

「自然エコシステム環境問題の解決と、日本企業によるサプライチェーンのイノベーション」

東梅貞義


 世界的な環境問題の一つに、森林エコシステム(生態系)の大規模な減少や、マグロ類など水産資源の枯渇に代表される海洋エコシステム劣化の問題がある。その問題の根本的な原因の一つとして、林産物(木材、紙など)や水産物(天然魚、養殖魚など)の生産と消費のサプライチェーンの今のあり方にあるとの指摘が強まっている。


 そのため、これらの産品を調達し加工し販売している企業にとっては、ビジネス上のリスクが世界的に高まっている。主要なリスクとしては、企業として環境問題社会問題への対応が不十分であるとの指摘が公に出されてしまう問題や(評判リスク)、例えば魚の乱獲による資源枯渇により調達が困難になるタイプの問題や(調達リスク)や、投資家が企業の社会課題への取組状況を評価し投資判断の材料とするトレンド(ESG 投資など)がある。


 一方、これらのビジネス上のリスクの高まりに対して、積極的にサプライチェーンの変革を多様なステークホルダーと進める協働的なイノベーションが、日本の企業の間でも近年始まっている。その一つは、自社の林産物や水産物の調達に関する基本原則を定め公開し、サプライチェーンの他社に協力を求める「責任ある調達方針」である。加えて、自社独自の取り組みだけではなく、多様なステークホルダーにオープンで透明性の高い国際的な認証制度の活用する例が増えている。さらには、責任ある調達方針を持つ企業がグループを形成し、サプライヤーに対して協力を促すプラットホーム型の取り組みも始まっている。日本が主要な生産国であり消費国である水産物の生産の現場では、日本のサプライチェーン関係者が参加した世界標準づくりが、国際的な認証基準として採択される事例も生まれつつある。



対談 III

「二次元生産革命とFCによるエコシステム創造(仮)」

「 FC による二次元生産革命とエコシステム構築」

長谷川卓也

辻本将晴


 イノベーションという概念を最初に導入した経済学者ヨハン・シュンペーターは、著書「経済発展の理論」において「本書では、通常の意味の発展理論を取り扱うものではない」と明言し、通常ではない経済発展を実現する手段としてイノベーション(新結合)を導入した。また、「新結合が非連続的に現れる場合に限り、発展に特有な現象が成立する」( p182 )と宣言し、後にこれを創造的破壊と命名する。


 創造的破壊は無差別的破壊とは異なる。すなわち創造的破壊には「ルール」がある。シュンペーターはこの行為の監督者としての銀行家の役割を強調した。ここで、銀行家が行為に先んじて払う正当な注意義務及び努力のことをデューディリジェンスといい、財務状況にとどまらず、生産や販売、人事、法務など事業活動全般も対象になる。


 ドラマ半沢直樹では悪徳社長と支店長の共謀でデューディリジェンスの責任を負わされた銀行家の復讐劇を描いたが、これは産業として成熟している製鉄エコシステムのごく一部の事例にすぎない。「エコシステムの創造」がスクラッチからの全体創造を意味するなら、全てのアクターについてデューディリジェンスを実施することは不可能に近い。しかし、それでも挑戦する必要があるとしたら、最初のステップは無闇に動き回ることではなく理想とするエコシステムの姿を定義することであろう。また、粛々と技術開発に努めながら現状とのギャップ分析を行うことであろう。水素エコシステムの創造にかかわるごく一部についてその状況を報告する。